第14章 NEXT LEVEL
ー歩side
恋バナで盛り上がっていると
コンコンと部屋のドアをノックする音が聞こえた
誰やろ?…うるさすぎたかな
一番手前に座ってた私が立ち上がって、スライド式のドアをそろりと開けると…そこにはTシャツ…
見上げると蛍の顔
「わっ、蛍」
「外まで歩の声聞こえてた」
「私だけ?!」
「そう、1人で喋ってるのかと思った」
「そんなわけないやろ、で、なに?それを注意しにきてくれたん?」
お風呂上がりなのか、妙にいい匂いを漂わせてる蛍を直視出来ず、目線を逸らしながら言う
「いや、ちょっと歩に話があって」
「…なにそれいい話?悪い話?」
「…別に悪くはないと思うけど」
急に話あるとか言われたらびっくりするやん
チラリと振り返るとやっちゃんとりなちゃんはニヤニヤしながらこっちを見ている
「溺愛彼氏のお迎えだね」
「ちょっ…ちが」
「歩ちゃん、私たちに構わず月島くんと逢引して!」
「やっちゃん…逢引て」
そんな私たちの様子を見ていた蛍は、口の端にイジワルそうな笑みを浮かべて
「逢引、する?」
って訊いてくる
「ちょ、誤解を招く言い方せんといてよ。でもなんか話あるんやろ?ごめん、やっちゃんりなちゃんちょっと行ってくる」
「どうぞどうぞ」
「ごゆっくり〜」
顔を見合わせてニタニタ笑う2人を残して、私は蛍の横に並んで歩き始めた
「蛍ってさ」
「なに?」
「短髪やから分からんかったけど、結構クセ毛?」
そう言ってお風呂上がりの少し湿った柔らかな髪に、少し背伸びして触れる
「そう、だから伸ばさないんだよね。セッティングが面倒」
「でもパーマいらずやん?ふわふわで可愛い」
「そりゃどーも」
「私って髪ぺったんこやん?だから子供が産まれたら蛍に似たふわふわの髪の子がいいな」
「…子供?」
あ、やばい。また迂闊な発言をした、と思ったが遅かった
「ふぅん、歩は僕の子供が欲しいの?」
「いや、そういうことじゃなくて…いつかはそりゃって思うけど、今すぐとかそんなんじゃないし、結婚強要してるとかそんなんちゃうし!」
言い訳しながら焦る私を楽しそうに蛍は眺めてくる