第14章 NEXT LEVEL
ー歩side
蛍と一緒に帰りながら、明日からの合宿の集合時間などを確認していた
「明日は迎えいいで、翔陽が寄ってくれるって言うてたし…で、時間は分かってる?」
「…分かってる」
なぜか若干上の空の蛍
明日からの合宿に緊張してるんか、それとも何か考え事かな?
「蛍、聞いてる?」
顔を覗き込むようにして訊ねる
「うん、集合時間デショ」
「何よ、聞いてんのやったらリアクションしてよ」
「いや…去年の合宿からもう1年なんだって思って」
「そやな、早いなぁ」
「初めてキスしてから1年」
ボソッと耳元で囁かれる
!!!なっ…上の空やと思ってたらそんなこと考えてたん?!
そう言えば去年のあの合宿で蛍に突然キスされて、しかもそれを梟谷のマネージャーのかおりさんに見られてたりして、もう大変やったことを思い出した
「ちょ!!!!蛍!!!!何で急にそんなん言うの!」
「事実じゃん」
「あれは蛍が勝手に…」
「まぁそうだね、じゃあ今年は歩からしてもらおうかな」
なんて妖艶に微笑みながら蛍が言う
「合宿に集中!」
って嗜めると、蛍は少し膨れながら
「じゃあ合宿中にしてくれないなら、今してよ」
とかいう謎理論を振り翳してくる
でも満更でもない自分がいて、結局押しに負けて甘い口づけを交わした
明日からいよいよ合宿
音駒や梟谷のみんなにひさしぶりに会えると思うと、ワクワクしてきた
「そう言えば去年の合宿中は私、ほとんど音駒にいたからあんまり烏野のこと見てなかったし、今年は楽しみやわ」
「夜の自主練、僕と一緒に来るんでしょ?」
さも当たり前のように蛍が言うのがおかしくてフフッと笑いが込み上げてくる
「…なに?」
「いやだって、夜の自主練やる前提なんやって…いつの間にやらすっかり暑苦しくおなりになって…」
「暑苦しくないし」
「スポ根」
「違うし」
嫌そうな顔をして、照れる蛍が可愛い
「なんで?そっちの方がいいやん」
「今の僕の方が好きってこと?」
「うん、大好き」
自分で聞いてきたくせに、蛍は照れ臭そうに視線を外して
「バーカ…可愛すぎ」
と呟いた