第14章 NEXT LEVEL
ー月島side
ビーチねぇ…
歩が自分で聞けばいいのになんで僕がわざわざ日向に…
とか思いながらも日々は過ぎて行き、すっかりそのことは頭から忘れ去られていた
何せまた明日から1週間、森然高校での合宿だし
てか、この前IHが終わったばっかなのに、夏休みが終わって秋になれば今度は春高の予選が始まるとか…早すぎだよね
IH予選は決勝で伊達工に敗れたけど、あんな悔しい思いはもう二度としたくない
それに歩が誰かとまた、デートするのを見るのだって嫌だし…
「コーチ…ちょっといいですか」
「おお、月島どうした」
「明日からの合宿に小さいホワイトボードとマグネット持って行ってもいいですか?」
「いつも使ってるやつでいいか?」
「大丈夫です」
「で、それで何するつもりなんだ?」
「練習試合やった後に、将棋の感想戦みたいなのをやりたいなって思って」
「ほう…例えば今の試合、このプレーが決まらなかったのは何故だったかとか、他のチームメイトがどういう意図で動いてたとか、みんなでディスカッションするみたいなイメージか?」
「はい、一年生も新しく入ってきたし、多分言語化してコミュニケーション取っていった方が分かりやすいと思うんですよね」
「なるほどな、そんでその反省を活かして次の試合の動きに落とし込む…悪くねぇな。よし、じゃあいつものホワイトボード持ってくように橘に伝えとくわ」
「お願いします」
「それにしてもお前…1年でスッカリ変わったな」
「…なんですか…別に変わってません」
「いいや、今やお前は立派な暑苦しいスポ根野郎だぞ」
「…え」
「露骨にヤな顔すんなよ、褒めてんだぞ。それに嬉しい」
「…」
「お前は烏野の理性だ、これからも頼むぞ」
頼まれても…
僕はキャプテンでも何でもないし、3年になってもそんなのやりたくもないし
暑苦しいのは苦手だし、バレー命のどっかのバカとも違う
ただ、負けるのはムカつくし、合理的でないことが嫌なだけ
別にスポ根野郎じゃないしって自分に言い聞かせながら、なんとなく悪い気はしてない自分に心底驚いた
明日からいよいよ合宿