第14章 NEXT LEVEL
ー数週間後
夏休みが始まった、とは言っても結局ほとんど部活で毎日ぐらい学校には行かなくちゃいけないけど
「おはよ、ねぇ歩ちゃん、聞いた?」
ロッカールームで着替えをしていると、後から来たやっちゃんが話しかけてきた
「おはよー、何を?」
「この前学校に乗り込んできた、不良のオニイサンたちいたでしょ」
「あー、うん」
「あの人たち武田先生に連れて行かれたでしょ?その後、まじめに全員働き出したらしいよ」
「え、そうなん?進路相談するってゆうてたよな…どんな説法したんやろな」
「分かんないけど、みんな帰り道バイク押しながら帰っていったみたい」
「武田先生こわ」
母校にバイクで乗り込んできたような不良を一撃で更生させるとは…武田先生はマジで敵に回したらあかんやつ
と、ふとある考えが浮かんだ
「私も武田先生に進路相談しよっかな」
「え、もう進路?」
「あ…うん…なんとなく将来やりたいこととか何かよく分からんくって…変に焦ってて。やっちゃんは?やっちゃん、将来のこととか何か考えてる?」
「私?!私は…そうだなぁ、やっぱりデザインに関する仕事したいかなぁって漠然と思ってる…かな?」
「バリキャリおかんに弟子入りすんの?」
「それは怖すぎて無理、多分胃潰瘍になる」
「はは、でもやっちゃん向いてると思う!去年もやっちゃんの募金ポスターのおかげで合宿いけたみたいなもんやし」
「そんなことないよ、でもね…みんなが喜んでくれて、誰かのためになるなら、それを仕事にできるっていいなって思う」
「そんな風に思えるもんがあるっていいな。迷える私は、武田先生にありがたいお言葉でもいただいてみよっかな」
「そうだね、てか歩ちゃんに話そうと思ってたこともう一つあって」
「なに?山口くんと付き合った?」
「ちゃっ!!!ちがっ!!!違いますっっ!日向のことっ」
「しょ、翔陽?!また翔陽に気持ちが戻ったってこと?」
「違うから!もうっ!話聞いてよっ!」
あまりに必死で否定するやっちゃんが可愛くて、ついイジりたくなってしまう
「ごめんごめん、で、翔陽が何?」