第14章 NEXT LEVEL
「そもそもお前が俺と別れたりしなけりゃ…
「は?なに人のせいにしてんの?自分に魅力がないからフラれたってだけなのに、いつまでも女々しいねぇ。それに、いい歳こいて定職にも就かず、母校にバイクで乗り込んでくるやつなんか誰が好きになるわけ?」
「…っっ」
「私にもう一回振り向いて欲しけりゃ、まず真っ当な人間になることだね!頭冷やして出直してきな!!」
両腕を組んで、自分より大柄の相手を睨みつけながら言う
冴子さん!カッケェぇぇぇ!!!
女同士ですら惚れそうになる男前の姐御に見惚れていると
「はい、そこまでです」
パチンと両手を叩く音がして目線を移すと、そこにはやっちゃんと、やっちゃんに連れてこられた武田先生がいた
「武田先生…」
「橘さん、月島くんケガはないですか?」
武田先生は、いつものように穏やかな口調で私たちに問いかける
「はい、大丈夫です」
「で、君たちは我が校の卒業生のようですが…」
話し方は決して乱暴では無いのに、かなりの圧を感じる
「随分と進路に悩んでいるようですね?僕でよければ話を聞きますよ。さぁこちらへ…聞こえませんでしたか?こちらへ」
声は穏やかだが目は笑っていない武田先生に連れられて、男たちは去っていった
「冴子さんっ、ありがとうございました」
「いいってことよ、それよりホント怪我とかない?大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「龍がさ、あんたら助けてやってくれってスッゴイ慌てて電話してきたから」
「そうだったんですか…田中さんありがとうございました」
私が田中さんに向かってお辞儀すると、蛍も一緒に頭を下げた
「お前らが礼とか…やめろよ、気持ち悪いなぁ」
田中さんは、お調子者なのに褒めると恥ずかしがる所が可愛い
「縁下さん、他の先輩たちもご迷惑かけてすみませんでした」
「ううん、無事でよかった」
縁下さんはそう言って優しく微笑んだ
私が軽率な行動をしたことで、みんなにめっちゃ迷惑かけた
それなのにみんなは私を必死で守ろうとしてくれた
こんな最高の仲間、どこにもない
私の居場所は改めてここなんだと実感した