第14章 NEXT LEVEL
田中さんの背後から現れたのは冴子さんだった
「さ、冴子…」
先輩と呼ばれた男が呟く
冴子さんと知り合い…?
「あんた、何やってんの?」
私と男の間に立った冴子さんが怒りを滲ませながら言うと
「いや…これは…その」
と相手は口籠もってしまった
「冴子さん、知ってる人ですか?」
「あーー…うん、一応…同級生」
「同級生って…そんな他人行儀なこと言うなよ、俺ら付き合ってただろ?」
「…え?!付き合っ…」
「いつの話してんの?高校生ん時でしょ」
腕を組んで、男を睨みつけながら冴子さんが言う
この人が…冴子さんの元カレ?
「どいつもこいつも…バレーやってる男ってのはそんなにいいのかよ?」
「は?何の話?」
「お前が俺と別れるっつった理由だよ、お前あのバレー部のチビに惚れてたんだろ?」
「バレー部のチビ?…」
「確か小さな巨人とか呼ばれてたチビだったな…お前、俺に言ったよな?俺より試合中のアイツの方がよっぽど怖かったって。あんなチビのどこが俺より怖いのか意味分かんねぇけど、それからお前は明らかに変わっちまった」
「べ…別にアイツのこと好きになったわけじゃないし!ただ…あーやって自分の全部掛けて本気になってる奴見てたら…あんたらみたいなのって大したことないって思っただけだよ」
言い争う冴子さんと男を交互に見る
要するに…
高校生の時、この2人は付き合ってて…でも冴子さんは、鬼気迫る程の迫力でバレーしてる巨人さんに心を動かされて、この男から気持ちが離れて…だからそれでバレー部を目の敵にしてるってわけか…
にしても、この男めっちゃ冴子さんに未練ありそうな気が…
「…で、うちの可愛い妹分に手ェ出そうとはどういう了見だい?」
「別に俺は…こいつらが勝手にこの子を狙ってただけで、今日初めて会ったんだよ!大体俺は…もっとグラマーな女がタイプなんだよ、こんなガキ興味ねぇし」
若干しどろもどろになりながら男が言う
待って待って、私なんか今遠回しにディスられたよな
悪かったな、グラマーじゃなくて