第14章 NEXT LEVEL
「消えんのはお前らの方だろ」
聞いたことないくらい低い声でノヤさんが言う
その一言で、ノヤさんは東峰さんと喧嘩したくらいの猛者だということを思い出した
「何だと?お前ら部活出来なくなってもいいって言うのかよ」
「仲間を犠牲にするぐらいなら、その方がまだマシです。だから…その手離してもらって良いですか?」
縁下さんもいつもの優しい縁下さんじゃないみたい
みんなが私のためにこうして戦ってくれること、嬉しい…嬉しいけど
やめて
私のせいでみんながバレー出来なくなったら、そんなん耐えられへん
「いいんです、縁下さん。私…大丈夫ですから」
「何が大丈夫なの?!歩ちゃんが俺たちのことを庇って、それで俺らが喜ぶと思ってんの?!」
見たことのない剣幕で縁下さんに叱りつけられる
だって…そんなこと言っても…じゃあどうすれば…
「へー、お前もこの女に惚れてんだ。先輩、どうします?コイツらの目の前でやっちゃいましょうか?例えば…思い出いっぱいの体育館とかで?」
「はは、そりゃいいな。バレーなんかやってたこと後悔させてやるよ」
先輩と呼ばれた男が薄ら笑いを浮かべる
ゾワ…
鳥肌が立つ
一体どうなってしまうんやろう…
武田先生が辿り着いたとして、またこの人たちは何回でも現れるに違いない
その矛先が私じゃなくてチームのみんなに向かったら…
と、その時
「橘ーーーーーー!!!!」
大声で私の名前を呼びながら、猛スピードでこちらに向かってくる人影
あれは…
「田中さんっ」
「なんだなんだ、また別の男か?今度は随分系統の違う男だな」
息を切らして走ってきた田中さんを追いかけるようにしてもう1人、人影が見えた
その姿を見て、先輩と呼ばれた男の顔が凍りつく
「…ま、まさか」
「龍!呼び出しといて置いてくんじゃないよ!…で、アンタら、こんな騒動起こして…覚悟出来てんだろうね!」