第14章 NEXT LEVEL
ー歩side
「ごめんな蛍、こんなことに巻き込んで」
「歩が1人で何かに巻き込まれてるよりかは、100倍マシ」
蛍に手を引かれてグラウンドに出ると、土煙の中から人影が現れた
顔はよく覚えてないけど多分この前絡んできた人たちやろう…そしてその奥に1人、他の男性たちより大柄で体格の良い人が見える
あの人は…おらんかった気がする
「歩ちゃーん!会いたかったよ?俺らのこと覚えてる?」
「あん時はよくも、サツに通報みたいなナメた真似してくれたな」
「何の用ですか?」
「相変わらずツレないねぇ…てか、何その男?」
「私の彼氏ですけど」
「彼氏?ハハハ!こりゃとんだビッチじゃねぇか、こないだの男はもう別れたってか?」
「…あの人とは別に付き合ってないんで」
「へぇー、おいお前この女気をつけた方がいいぜ。誰にでもすぐ脚開くからよ」
二口さんと私が恋人同士だと勘違いしている男たちは、蛍につっかかる
「歩はそんなことしません」
「どーだかなぁ?なぁ、歩チャンさぁ、あん時みたいにコイツ守りたいんだろ?じゃあ大人しく俺らに付き合ってもらうぜ」
グッと腕を掴まれた時、後ろからバタバタと足音がした
振り向くと、そこには縁下さん、ノヤさん、木下さん、成田さんたち3年生の先輩がいた
「うちのマネージャーに何か用ですか?」
怯むことなく、一歩踏み出した縁下さんが言い放つ
「マネージャー?お前、何かの部活のマネージャーなわけ?こんなに男従えて、何の世話してんのかしらねぇけど」
「あ?こいつら烏野高校排球部って書いたジャージ着てるぜ?バレー部なんじゃね?」
「烏野のバレー部って確か去年全国行ったとか…ほら、俺らん時もバレー部めっちゃ強かったじゃん」
男たちが口々に言う
バレー部めっちゃ強かった…ってことは、蛍のお兄さんや巨人さんがいた頃の卒業生なのだろうか
「バレー部…気に入らねぇな」
ふいに重く低い声がして、その声の主に目をやる
見たことない大柄な男の人
もたれかかっていたバイクから身体を起こしてこちらに向かってくる
「お嬢ちゃん、大人しくついてきたらコイツらのことは見逃してやるよ。お前らも、平和に部活してぇだろ?さっさと消えろ」