第14章 NEXT LEVEL
谷地 仁花、自分の命よりも友達の命がかかってる方が頑張れるタイプのようで、今までにないぐらい全力疾走で廊下を走って、3年生の階に辿り着く
縁下さん…は何組だっけ?確か進学クラスだから…とキョロキョロしていると
「あっれー?やっちゃん、どうしたんだ?3年の廊下で」
聞き慣れた声がして振り向くと、そこには田中さんが立っていた
「たにゃ!田中先輩!!!たたたたいへんなんです!!!歩ちゃんと月島くんが!!!」
「橘と月島がどうかしたのか?!」
「そ、外にバイクの怖いお兄さんが!!」
もちろん3年生の教室にも、あの爆音は聞こえているはずだった
「えー、あのバイクの奴ら、アイツらの知り合いなのかよ」
「知り合いではないようですが、どうも歩ちゃんを探してるみたいで、それを聞いた月島くんも歩ちゃんと一緒に…」
「橘目当てなのか?…」
「はい、で、私は月島くんに縁下さんと武田先生を呼んでくるようにと頼まれて…」
「分かった!縁下には俺から話すから、やっちゃんは先生頼んだ!」
「あ、はい!」
私の不安な気持ちを汲み取ってくれたのか、田中さんはポンと私の肩を叩いて
「大丈夫、俺らパイセンがぜってぇ守ってやるから」
と言うと、縁下さんの名前を叫びながら去っていった
田中さん…本当に頼りになりすぎます
私だって、大切な友達のために自分のできることをしなくちゃ
私は職員室に向かって走り出す
何故かその間ずっと脳内で、走れメロスの音楽が再生されていた