第14章 NEXT LEVEL
ー仁花side
グラウンドに土煙が立ち込め、数台のバイクが入ってくる
バイク?グラウンドに?
不思議なその光景を歩ちゃんと2人でしばらく眺めていると、慌てた様子のクラスメイトが教室に駆け込んできた
「橘さんっ、下…なんかヤバいバイクの人たちが」
え?歩ちゃんの知り合い?!
グラウンドにバイクで乗り込んできたヤンキーの方々に呼び出されるなんて、歩ちゃん流に言うとクローズの世界でしか見たことないって感じなんですけど!!
「え、私?」
「うん…歩って美人の生徒呼んでこいって…」
「あー…」
って言いながらグラウンドを見る歩ちゃん
なに、なんなの?心当たりがあるの?!
「とりあえず俺、月島にも言ってくるわ!」
クラスメイトの男子はそう言ってバタバタと教室を後にした
隣のクラスだから、あっという間に月島くんが現れて私たちのところに駆け寄ってくる
「歩!!」
「あ、蛍…」
「大丈夫?あれ…前に言ってた奴らで間違いない?」
「あー多分、そうやと思う」
「歩ちゃん…知ってる人なの?」
恐る恐る訊くと、少し前に歩ちゃんに絡んできた男の人たちだって月島くんが説明してくれた
「でもまぁ…行ってくるわ」
「は?!何言ってんの?ダメに決まってるでしょ」
「だって…私のせいで他のみんなになんかあったら嫌やし」
「歩のせいとかじゃないじゃん」
「でももし私がバレー部やってバレてみんなが巻き込まれたら、そんなん絶対嫌や」
頑なな歩ちゃんに対して、呆れたように月島くんは
「…わかった。でも僕も一緒に行く」
と呟いた
「でも蛍が…」
「僕はバレー部員の前に歩の彼氏でしょ?そんなん1人で行かせるわけないじゃん」
「蛍…」
「それに…伊達工のキャプテンにも死んでも歩を守るように言われてるからね」
そう言うと月島くんは歩ちゃんの手を握って、私の方に向き直った
「谷地さん、谷地さんは縁下さんと武田先生に今のこと伝えてきて」
「え、あ…うん!だけど2人は…?」
「僕たちは先生が来るまで時間稼ぐから。大丈夫、歩には何もさせない」