第14章 NEXT LEVEL
帰ったら連絡するように言われてたし…気は進まへんけど、蛍に電話を掛けた
蛍は待ち構えてたんか、2コールで電話に出る
「もしもし蛍?今帰ってきた」
「おかえり、早かったじゃん」
「うん、ただいま」
「何もされなかった?」
「…うん」
ハグされたんは、何もされなかったに含めていいんやろうか
「どうしたの?元気ないね、楽しくなかった?」
「…いや、そういうわけでは…」
「なに、なんかあったの?」
私は嘘をつくのが下手で、電話越しにでも隠し事をしてるってすぐにバレる
蛍に変に誤解されても嫌やし、今日あったことを説明した
道に迷ったこと
そこで複数人の男性に囲まれて連れていかれそうになったこと
聞き終えた蛍は、珍しく慌てたような口振りで心配してくれる
「は?!歩大丈夫なの?本当何もされてない?」
「あ、うん…大丈夫」
「ったく…あの人一緒にいたくせに、何で歩をそんな目に遭わせるかなぁ…」
「いや、そこは私が自分で出て行ってん。だって二口さん、これから全国大会やろ?その前に暴力沙汰とかなって、それ私のせいってなったらめっちゃゴメンってなるやん」
「なんないでしょ、そのために歩が危険なことに巻き込まれるとかオカシイじゃん」
「うん…でもあの時は必死で…」
「本当危ないことしないで、とりあえず明日からは僕が毎日送り迎えするから」
「いや、そんなん逆方向やし悪いわ」
「あのね、僕に悪いって思うなら大人しく送迎されてくんない?僕にとって最悪の事態は君が危険な目に遭うことなんだから」
蛍はそう言って、本当に次の日の朝から迎えにきてくれた
「蛍、おはよう。わざわざごめんな」
「全然、ちゃんと眠れた?」
「うん、おかげさまで」
蛍は優しい
たまに意地悪言うけど、いつも私のこと考えてくれてる
それに引きかえ、私は…
気持ちは蛍にしかないと言えども、及川さんとか二口さんとか…全拒否できひん自分がいて、その度に国見ちゃんに言われた言葉を思い出してしまう