第14章 NEXT LEVEL
「ここで大丈夫です、まだ明るいから」
「は?さっき危ねぇ目に遭ったばっかなんだから、家の前まで送るに決まってんだろ」
駅で別れようと思ったけれど、二口さんに押し切られ、家まで送ってもらうことになった
言い方は辛辣やけど、心配してくれてんのは伝わってくる
でも…さっき告白?的なものをされた手前、2人の間には微妙な空気が漂っている
「全国、楽しみですか?」
気まずくならないように話しかけるけど
「ああ、まーな」
と気のない返事をされる
…会話、終わるやん
そんな感じで質問しては、一言で返されるのを繰り返しているうちに家の近所まで来ていた
「じゃあここで…全国大会、頑張ってくださいね」
努めて明るく言って、別れようとすると
「おう…本当はさ、お前に観にきてくれって頼むつもりだった」
と二口さんが話し出した
「そうだったんですか」
「でも、やめた」
「どうしてですか?」
「言っただろ?今の俺にお前を好きでいる資格なんてねぇって…だから…お前の力借りずに全国制覇したらさ…またお前を好きになっていいか?」
いつも意地悪ばっかり言う二口さんが、恋愛漫画の主人公みたいなこと言うてくる
「それはまたその時考えます。でも…嬉しかったですよ、好きって言ってくれてありがとうございます」
「なんだ…やけに素直じゃん」
「二口さんこそ」
「恥ずいわマジで、こんなん言ったことねーし。でも…恥ずかしいついでにもう一つ言っとく。歩、これからの人生で嫌なこととか辛いことがあって、マジで無理って思ったらいつでも連絡しろ。何時でもどこでも絶対俺がお前んとこに行ってやるから」
「どうしてそこまで…」
「今日お前に助けられた借りがあるからな」
「…それ、有効期限は?」
「一生だ、バーカ」
そう言うと二口さんはまたいつものように、大きな手で私の髪をクシャクシャとすると、来た道を戻っていった
ああ、長い1日だった
今日のこと、蛍に何て言おう…
色んなことが起こりすぎて頭がグチャグチャになった