第14章 NEXT LEVEL
赤くなりながら子供みたいに必死に言い返してくる姿が可愛くてグッと顔を近づけて耳元で呟く
「本当にドSかどうか試してみるか」
「も、ほんま!やめ…
「おいおーい、高校生がこんなとこで何やってんだー?」
ふいに背後から低い男の声がして、振り返る
そこには5人の男が立っていた
年は多分…二十歳そこそことかぐらいか
「…あ?」
「だめだろーこんなとこで何するつもりだったんだよ、てか彼女超可愛いね」
男のうちの1人が歩の顔を覗き込む
「彼氏とは経験済なんだろ?じゃあ俺らの相手もしてくれよ」
別の男が歩の肩に腕を回しながら下品な笑みを浮かべる
「おい、やめろよ」
「あ?なんだ色男くん、独り占めは良くないねぇ〜いつも彼女とどんなことしてんの?」
「黙れ…歩を離せよ」
「おーこわ、てか歩ちゃんって言うの?可愛いねぇ〜それにその制服烏野じゃね?俺ら先輩、せんぱーい」
「ちょ、やめてください!離してください!私ら道に迷っただけなんです!」
歩は男たちに囲まれながら、必死に訴える
「離せつってんだろ」
彼女の肩に腕を回す男を引き剥がそうと、男の肩を掴む
「んだてめぇ、引っ込んでろ!」
振り向きざまに男が殴りかかってくる
は?俺の動体視力ナメてんじゃねーぞ
男の拳を避け、かわりに一発喰らわしてやろうと腕を振り上げたその時
「やめてーっ!」
歩が俺の胸に飛び込んできて、止められる
「何してんだよ、離せ!コイツらが」
「二口さんこそ何してるんですか!こんなしょーもない奴らのせいで試合出れんくなったらどうするんですか!」
凄い剣幕の彼女に言われハッとした
そうだ…俺はこれから宮城県代表として、全国大会に行くんだ
自分一人だけじゃない…チームメイトの今までの努力や全国行きを決めた時の喜びを台無しにするわけにはいかない
途端恐ろしくなって、振り上げた拳をゆっくりと下ろした
「私なら大丈夫ですから」
腕の中で彼女はそう言うと、男たちの方に向き直る