第14章 NEXT LEVEL
「え、いつ?」
「前、家まで送ってくれたじゃないですか、あの時」
「ふーん、妹たちに彼氏だって言った?」
「言うわけないでしょ、ややこしい」
「なんか言ってた?」
「背高いイケメンって言うてましたよ」
そう言いながら歩は、食後のアイスカフェラテをストローで吸い上げる
妹にはまずまず好印象ってわけか、いくつなんだか知らねぇけど歩に似てたりすんのかな
って別に顔が似てりゃ、妹でもいいってわけじゃないけど…
…て待てよ
俺、そんなコイツのこと好きだったっけ
烏野に嫌がらせしてやろーかなぐらいの感じで、今回のデートも半分冗談のつもりで言い出したけど、あのメガネと付き合ってるとか言い出すし、当の本人は何の警戒心もなく現れるし…
こんなに気持ち乱されるほど、好きになってたとか笑える
でもまぁ今日だけは、あれこれ考えずデートを楽しむしかないし、歩にも楽しかったって思ってもらいたい
…この時はそう思ってた
「さぁ飯も食ったし、どっか行きたいとこある?」
ソファ席にもたれ掛かりながら言うと、歩は
「二口さん、マリカー強いですか?」
とかまたワケのわかんねーこと言ってくる
「さぁ…それなりなんじゃねーの」
「じゃあアーケードでマリカー対決しましょうよ!」
アーケードでマリカーってことはゲーセンか…
「お前、ゲーセンで男子高校生に勝てると思ってんのか?」
「さぁ、どうでしょうね〜」
「それ負けたらなんか罰ゲームあんの?」
「えー、何も考えてなかった…あ、あれは?」
「なに?」
「ゲーセンの前で尻字」
「ちょ、お前女子高生が尻字とか言うなよ」
「え、なんでですか?おもろいやん」
「おもろくねーわ、関西のノリ持って来んな。大体、お前はいいとして俺の尻字なんて誰が興味あんだよ」
「伊達工OBの皆さん」
そう言われて、茂庭さん、鎌崎さん、笹谷さんの転げ回る姿が目に浮かんだ
「うわー、興味ありそー、ぜってぇー負けねー」
「えぇ〜私も本気出すし!けんじのけの字はどう書くの〜?」
「歌うな」
ふざけながら歌う歩にツッこむけど、一瞬名前を呼ばれて焦ったってゆーのは内緒にしとく