第14章 NEXT LEVEL
「いやなんだよそれ、褒められてんの?」
「当たり前じゃないですか!作業着の男の人ってカッコいいですよね」
眩しい笑顔でそんなん言われたら、もー何も言えねーわ
このままだったら将来は多分作業着着るような仕事に就くだろーし、俺が作業着で仕事終わって帰ってきたら、家に歩がいて…悪くねぇな
なんて妄想をしてる間に、事前に調べておいた洒落たカフェに辿り着いた
「わー、超オシャレ!二口さんよくこんなお店知ってましたね!」
そりゃもー、彼女待ちのツレからめっちゃ情報集めたからな…なんてことは恥ずかしくて言えない
「ああ、まぁな」
向かい合わせに座って飯を食うのは、隣に座ってコーヒーを飲むのと勝手が違う
どんぐらいの頻度で顔を見りゃいいのかとか、目合わせた方がいいのかとか…もうちょい詳しく聞いとくんだった
「二口さんたちもIHが終わったら引退なんですか?」
器用にフォークを使ってパスタを巻き付けながら歩が言う
「そーだな、伊達工は代々そーだし」
「えー、もったいない!二口さんも青根さんも春高まで残ってくださいよ」
「何でだよ、他校のお前に関係ないだろ」
「大ありやし!この借りは春高でお返しして、叩きのめしてやりたいのに!」
「物騒だな、マネージャーが叩きのめすとかコエぇこと言うなよ」
「二口さんもすぐ叩きのめすって言うくせに」
「でもそんなんなったらお前、今度はデートぐらいじゃ済まねーぞ」
「何の話ですか?」
「春高で俺らが勝ったら、デートよりヘビーな条件提示してやるから」
「デートよりヘビーて何?!怖すぎるんで、やっぱ大人しく引退してください」
と言いながらイタズラっぽく歩が笑う
「お前…他校の先輩に向かって、大人しく引退しろってなぁ…」
軽口を叩き合いながら、ランチを平らげる
「歩結構食うの早いのな」
「やだ、うち3姉妹やから卑しいんですよ」
「そうなの?いいじゃん、遅せぇより」
「そうですか?昔から油断したらすぐおかず取られるし、取られた側やのに喧嘩なったら、お姉ちゃんなんやから!て怒られるし」
「お前が1番上なの?」
「そうです」
「へー、会ってみてぇな」
「一方的に目撃されてたことはありましたよ」