第14章 NEXT LEVEL
「待てよ」
バッと腕を掴まれる
「離してください」
「お前の彼氏はOKしたぞ」
「え?」
「あの眼鏡は俺とお前がデートするの了承したってこと」
まさか蛍が、こんな理不尽な提案を?
それよりも引き留めてくれなかったことに微妙に傷つく
「なんて顔してんだよ、何お前らうまくいってないわけ?」
二口さんはニヤニヤ笑いながら意地悪く言う
「ッッ、そんなことないですっ」
「まー、せいぜいデート中に俺に惚れないように気をつけるんだな」
そう言うと二口さんは私の頭をグシャグシャして、去っていた
いや、まじでなんなん
てか私とデートして二口さんに何のメリットがあるわけ?
どいつもこいつも何考えてるんかわけわからん
私は学校からの帰り道に蛍を呼び止めた
「ちょっと蛍!」
「…なに?」
「何で二口さんとのデート、いいって言うたん?」
「だって…負けたし」
「いやそもそもあんな約束、いいって言った覚えないし、あっちは負けても何の条件もないなんて不公平すぎやん」
「まぁそうだけど」
「もういい!蛍は私が二口さんとデートしても平気なんや!」
「ちょ、歩!」
走って逃げる私に、蛍が簡単に追いつく
蛍は現役バレーボーラーで、リーチの差もかなりあるからソッコー捕まった
「ハァハァ…平気なわけないでしょ」
「ならどうして」
「負けたくせに、やっぱり嫌ですなんてダサくて言いたくなかった」
「なんじゃそれ」
「それに…あの人と出掛けた所で歩の気持ちは変わらないって自信あるから」
「蛍…」
「君は僕のモノでしょ?だから…行ってハッキリ、あの人にこんなことしても無駄だって分かってほしかったんだよね」
「…分かった」
「でも、本当は嫌だし…だからなるべく短時間で終わらせてほしくはあるけどね」
「じゃあ、学校ある日の放課後にするわ」
信じてるからこそ、引き留めなかったっていう蛍の気持ちは何となく分かった
それからしばらくして、二口さんとのデートはテスト期間中の放課後ということに決まり…
妙にそわそわして落ち着かない気持ちのまま、当日を迎えることになった