第14章 NEXT LEVEL
ー月島side
IHの少し前から歩の様子がなんかおかしい
「…ねぇ…歩?聞いてる?」
「え、あ、うん!ごめん、なんやったっけ?」
「だから…この前青城のバレー教室の話」
「ああ!それな!1人めちゃくちゃうまいセッターの男の子がいて、顔は蛍みたいな感じで可愛くて…それより!及川さん、アルゼンチン行くんやって!」
何かを取り繕うように早口で話す歩
そもそも及川さんからわざわざ電話がかかってきて、バレー教室の手伝いを頼まれるような仲だなんて知らなかったし
ていうか前に連絡先知らないって言ってた気がするんだけど…
いや、このコミュ力モンスターなら、あり得ない話じゃないし、そういえば及川さんが烏野までわざわざ歩を迎えに来たこともあった
多分及川さんは歩のことを…でもあれほどの人なら、青城でも女の子選びたい放題デショ?なのに何でここまで歩に固執するんだよ
歩の方は…と言うと、及川さんから連絡が来てバレー教室の手伝いに行ってくるって正直に言ってくれてるわけだから、特にやましいことはないんだろうけど
2人きりでもないのに束縛するのもダサいから、行けば?って言ったけど、気持ちのいいものではない
「ちゃんと僕と付き合ってるって言った?」
「うん」
「あの人、なんて?」
「蛍が海外に行くって言ったらどうする?って」
「なにそれ、で歩はどう答えたの?」
「…ついてくって言った」
少し恥ずかしそうに小さな声で歩が言う
「ついてくるの?」
「何よ、あかん?」
「嬉しいよ、凄く」
不安になってた自分が恥ずかしくなる
歩は僕と離れるくらいなら、家族も友達も学校も捨てて僕についてくるって、それぐらい好きでいてくれたのに
たまらなくなって歩を抱きしめて軽く口付けたけど、明日からIHだししばらくこういう時間はとれないかなと思って、いつもより長めに…深く、キスをしようとすると
何故か歩は、それを拒んだ
?
別にそれまでだってしたことあったのに…
歩は真っ赤な顔をして
「もぉ…今日はオシマイ」
と言った