第14章 NEXT LEVEL
IHが始まり、烏野は順調に勝ち星を重ねていた
春高バレーで活躍した我々烏野チームは、一目置かれている雰囲気がある
「うわ!烏野だ!今日の試合も凄かったな〜」
「あの黒ジャージ迫力あるよな〜」
「先頭歩いてる小柄な選手、あの人ジャンプ力すげぇよな!」
今日の試合が終わり、体育館から出ようとすると、通り過ぎ様にそんな声が聞こえてくる
と、隣を歩いていた縁下さんが
「去年の今頃はさ…落ちた強豪、飛べない烏なんて揶揄されて、肩身狭い思いしてたんだよ」
と耳打ちしてくる
「そうなんですか?」
まだ去年のIHの時は私は烏野にはいなかったから、当時のことはよく分からない
それに青城に負けて、全国にいけなかったっていう苦い記憶もあってか、みんなあまり多くを語ってくれない
でもよくよく考えてみれば、去年のIHは新速攻だってなかったし、蛍も今とは違ったし…今年のみんなは全然違うはず
と思いつつも、3年生が抜けてチームがガラッと変わってから初の大きな試合ってこともあって、みんな結構緊張してる
ガラッと…って言ってもスタメンだけで言えば大地さんと東峰さんの2人が変わっただけやけど、チームの色…というかなんというか…雰囲気はかなり変わったように思う
それでも順調にここまでは勝ちを重ねてきた
今日の試合も接戦を制して、勝ちを納め
次はいよいよ…明日
伊達工と全国をかけた決勝戦
「あ、伊達工」
体育館を出たところでバッタリ伊達工メンバーと出くわした
「よぉ、歩」
壁にもたれていた二口さんが、こちらに気づいて私の名前を呼ぶ
「いよいよ明日ですね」
「おぉ…」
ゆっくりと二口さんが近づいてくる
と、その間にスッと蛍が入ってきた
「歩になんか用ですか?」
「あ、別にお前に関係ないだろ?」
「ありますよ、僕の彼女なんで」
「…は?彼女?アイツがお前の?」
「…そうですけど」
「へぇーつまんねぇの」
二口さんはそう呟く