第3章 春高予選
ー歩side
帰り道スガさんが家まで送ってくれた
気まずくならないように努めて明るく話してたけど、心の中は混乱してた
スガさんは時折真剣な表情を見せる時があったけど
今日は本当の気持ちを知ってしまった
知ってしまった以上意識せざるを得へん
色が白くてホクロがセクシーなとこも
浴衣が似合うのも
男らしくて頼りになって優しい性格も
年相応の男の子っぽいところも
…キスされたことも
考えると言った以上いつかは答えを出さんとあかん
「あ、家もう見えてるんでここでいいです。今日はありがとうございました」
「うん、急に誘ってごめんね」
「いえいえ、楽しかったです!スガさんの浴衣姿も見られたし」
「こっちのセリフだよ。じゃあまた明日部活でね」
「はい、おやすみなさい」
帰って部屋に入るなり、浴衣のままうつ伏せにベッドにダイブする
「はぁ…」
私が帰ったことに気づいた妹たちが断りもなく部屋に入ってくる
「お姉気付いてた?!今うちらベランダから見てたんやで!」
「まじで?!」
「遠かったからあんまよう分からんかったけど、イケメンやった気がする」
「写真!写真!」
うるさいからスマホを差し出すと、妹たちは慣れた手つきで画像フォルダを表示させる
「え、待って」
「めっちゃイケメンやん」
「高3ええなぁ」
「分かる〜」
「何言うてんねん!」
自分のツッコミにキレがないのが分かる
「これで背高いとか最高やんな」
「で、お姉は何でこの人ではアカンの?」
上の妹が見透かしたように聞いてくる
「え?」
「だって、若干テンション低いやん。普通好きな人とデートして帰ってきたらそんな顔ならんやろ?」
「あんたほんまに中2なん?マセてて怖いわ」
「何でよ、お姉中2ん時にはもう侑と付き合ってたやん」
「だから何で侑が…
「あ、待って待って!電話やわ!」
私のスマホを握っていた下の妹が言う
「つきしま…ほたる?」
!!!!
「ちょ!」
私は下の妹からスマホを取り返して通話ボタンを押す
「もしもし?ちょ、あんたらあっちいって!」
「何?おねえ本命?!」
「ほたるて女ちゃうん?」
「ちょ、ほんま黙って!え、ツッキー?なに?」
『いや…騒がしいんだけど』
「それはごめん」