第13章 新たな風
長い階段を登ると、市民体育館の前に何人かの小学生が目に入った
「あ、トールだ!トール!」
「本当だ!おーい!」
小学生たちは及川さんを見つけると、口々に言いながら近づいてきた
「徹じゃなくて、及川先生と呼びなさい」
「やだよー!猛だってトールって呼んでんじゃんか…って、誰?このお姉ちゃん、もしかしてトールの彼女?!」
「トールが彼女連れてきたーー!!」
盛り上がる子供たち
「ちょっ、違うよ!お姉ちゃんはお手伝いで来ただけで、及川さんの彼女じゃないからね」
両手をブンブン振って否定すると、及川さんは
「そんなに思い切り否定することないじゃん」
と口を尖らせる
「やーい、トール振られてやんのー!猛の母ちゃんに教えてやろーぜ!」
「こんな美人の姉ちゃんがトールなんて相手にするわけないもんな、ねぇお姉ちゃん、俺たちと一緒にネット張るの手伝ってよ」
「いこーよ、お姉ちゃん!」
子供たちに手を掴まれて体育館の方に歩み出す
「ちょ、お前ら!歩ちゃんと手繋ぐとか100年早いぞ!」
と言いながら及川さんも後ろから追いかけてくる