第13章 新たな風
子供たちを手伝いながらコートにネットを張る
子供用のネットは少し低くて、私でも本気を出せばブロックできそうな気がする
「お姉ちゃん、ネット張るの上手だね?」
「もしかしてお姉ちゃんもバレーやってんの?だって背も高いしね」
そう言って男の子たちが背伸びをする様子が可愛くて、思わず笑みが溢れる
「大丈夫、みんなすぐにお姉ちゃんなんて見下ろすくらいにおっきくなるよ!あとお姉ちゃんはね、バレーボールの選手じゃないけど、マネージャーって言って選手のお手伝いをしてるんだよ」
そう言うと子供たちはへぇーと声を揃えて言う
「そっかぁ、じゃあお姉ちゃんはトールのマネージャーなの?」
「ううん、私は烏野高校って高校のマネージャーだよ」
「えー!烏野!烏野知ってるよ!春高の宮城県代表じゃん!」
「お姉ちゃん、俺烏野行くよ!だからその時までマネージャーしててよね」
キャッキャと盛り上がる子供たちに近づいて及川さんは
「お前ら、マジで見る目ないね!どう考えても及川さんの母校に行きたいっていうべきだろ?!」
って子供相手にマジになってる
「及川さん大人げなーい」
と私が言うと、子供たちも面白がって
「そーだそーだ!オトナゲナイぞー!」
と囃し立てる
子供たちにイジられ倒してた及川さんやけど、いざ練習が始まると及川さんも子供たちも真剣な眼差しでバレーボールに向き合う
私が及川さんに向かってボール出しをして、それを及川さんがふわりとセットし、子供たちはキラキラとした眼差しでスパイクを打つ
及川さんは子供たちに合わせた打ちやすいボールを上げてるんやろう、子供たちは皆嬉しそうに練習している
微笑ましいなぁ
やっぱ甥っ子さんがいるってこともあって、子供の扱いが慣れてるって感じがする
休憩時間になり、私はこの教室の主催者であるコーチの所に挨拶にいった
「すみません、急にお邪魔して」
と言うとコーチは
「いやいや、こちらこそごめんね。いつもサポートしてくれる子が今日急に都合悪くなってね」
と穏やかな声で言う
「及川くんが来てくれる日を子供たちはいつも楽しみにしてるんだ」
コーチは目を細めて子供たちに囲まれる及川さんを見つめる