第13章 新たな風
ー歩side
2泊3日の合宿が終わり、今日はオフ
午前中はダラダラとベッドで過ごしていた
と、携帯が着信を告げる
〜♪
LINEの着信じゃないし…と思いながら画面を見ると、知らない番号…
?
誰やろう…
恐る恐る電話に出る
「あ、歩ちゃん?久しぶり?元気してたー?」
電話口から聴こえるその口調は名乗らずとも分かる
「…もしかして及川さんですか?」
「そうだよー」
「そうだよーって…連絡しないって言ってませんでしたか?」
「えー?俺そんなこと言ってた?そんなことよりさ、今暇?出てこれる?」
出てこれる…ってどういう意味だろう
デートの誘いならお断りしないといけないし…などと逡巡していると
「あれ?もしかしてデートの誘い、とか思ってない?違うよ、ちょっと手伝って欲しいことがあってね」
「手伝い…ですか?なんの?」
「俺、小学生のバレーボール教室で子供にバレーボール教えてるんだけど、ちょっと今日人が足りなくて」
「青城のみなさんは?」
「内緒にしてるんだよ、休みの日はデートって言ってんのに実は子供とバレーボールしてるとか恥ずかしくて言えないからね」
「なんですかそれ(笑)…まぁ、分かりました。で、どこ行けばいいんですか?」
「え、来てくれるの?ありがとうね〜じゃあ青城の最寄駅まで迎えに行くから」
安請け合いしてしまったけど、少年バレーボールの練習に私が行って何か役に立つのかな
それにしても及川さんが子供にバレーボール教えてるとか意外だな
その姿を思い浮かべてフフフと笑いが込み上げる
私はジャージに着替えて、準備を始めた