第13章 新たな風
「わお、蛍がパイセンしてる」
「歩、うるさい」
山口君と同じ扱いをされる
「そうですね…なんかラリーが続けば続くほど打つとこなくなってく…って感じです。特にあのセッターヤバいっすね、影山さんとは別の意味で」
「初めて試合出たにしてはよく見えてるね」
蛍に褒められて空はパッと嬉しそうな顔をする
「いやっ、そんなっ、あざっす!!」
「時田が言うように、音駒はセッターの孤爪さんがブレーンで、彼の戦略にハマると本当打つとこなくなるんだよね」
「飄々としててモーションも少ないから、読みづらかったです」
「うん、だから音駒みたいなチームには早い段階で点差をつける必要があるんだよね。序盤からサーブで崩してブロックで早々に仕留める、そのために君達1年生が練習すべきことは?」
「サーブですか?」
今度は庄子くんが答える
「今年の一年は理解が早くて助かるよ、誰かさんに聞かせてやりたい」
蛍が言うと、後ろから翔陽が
「月島ァ!なんか言ったかぁ?!」
と近づいてくる
「でも本当俺もまだ練習中だけど、強いサーブはそれだけで点に絡めるからな。うまい奴に教えて貰えよ」
翔陽が自分より大柄な1年生たちをバシバシと叩く
「ジャンフロだったら山口さんに教えて貰えばいいですかね?」
庄子くんが言う
「山口も1年の時はめちゃくちゃジャンフロ練習してたもんな」
と言う翔陽の声を聞いた山口くんが近づいてくる
「俺より全然木下さんの方が凄いよ、なんせ木下さんのサーブは西谷さんでも取れないことがあるからね」
と言う山口くんの言葉に1年生たちがざわつく
「に、西谷さんが取れないボールなんてあるんですか?!」
「そうだよ、あと俺はね師匠にマンツーマンでジャンフロ教えてもらってたんだ」
「え?!山口さんの師匠ですか?!どこにいるんすか?!」
空が目を輝かせる
「しまだマートの店主、嶋田さんはジャンフロの使い手なんやで」
「しまだマート…って昨日の朝食材配達してくれた眼鏡のお兄さんですか?」
「そうそう、空も行ってきーや」
「勝手に?!」
「言うといたげるわ、もう1人ぐらい弟子増えてもいいやろって」
「歩、OBにも容赦ないね」
蛍が言う