第13章 新たな風
早足で烏野ベンチに戻る歩の後ろ姿を見ながら
「随分盛り上がってたけど、何話してたの?」
ってリエーフに訊く
「あ、研磨さーん、3月に俺がモデルのバイトしたの覚えてます?」
「うん、確か歩の従姉妹のお姉さんに頼まれたんだっけ?」
「そうですそうです!その時のスナップがこないだ送られてきて、橘もそれを見たらしくて、俺のあまりのイケメンさに虜になったって話ですよ」
「アイツそんなこと言ってねぇだろ!」
トラがツッコミ、周りのみんなもウンウンと頷く
「それでね、その橘の従姉妹のお姉さんがマジ美人なんですよ!」
「そうなんだ、歩と似てるってこと?」
「んー、姉妹と言われれば納得するぐらいは似てると思います。でも、それだけじゃなくて自立した大人の女性って感じで…
「リエーフ、その辺にしとけ。試合始まるぞ、それに…大人の女性を振り向かせたかったら公式戦来てもらうように誘ってみろよ?そこで活躍してるお前を見たらお姉さんだって見る目変わるかもしんないぜ?だからお前が今やるべきことは?」
「試合も練習も死ぬほど頑張る!」
柴山にうまく丸め込まれてリエーフはやる気満々でコートに向かっていった
柴山…ポジションだけじゃなくて、夜久くんからリエーフの扱いまで伝授されてるのか、扱いがうますぎる
で、リエーフはと言うと、まぁその日の練習試合に関してはやる気出しすぎて空回りまくってたわけで…
まだまだ歳上のお姉さんのハートを射止めるには時間がかかりそうだなって感じ
それにしても…
さっきの加藤さんの様子、ちょっと気になるな
音駒のみんなと楽しそうに話す歩を見る目に、明らかに敵意が潜んでいる気がしたから