第13章 新たな風
ー月島side
今日からIHに向けた合宿
まずもって面倒くさいし、騒がしい奴らと始終一緒にいるのがウザい
けど久しぶりに音駒をはじめ、他の強豪校たちと練習試合が出来るのは少し楽しみではある
新しく考えたフォーメーションや戦術がどの程度通用するのかも知りたいし、そのためにはまぁ合宿も悪くないんだけど
それに、学校だし2人きりではないとは言え、歩と同じ施設で寝泊まりするのは単純に嬉しい
そんなことを考えているとコートの中央で、久しぶりの再会を喜ぶ歩と孤爪さんの姿が目に入った
楽しそうに話す歩
そして、その彼女を愛おしそうに見つめながら話す孤爪さん…
この人はマジで油断ならない
黒尾さんや木兎さんみたいなアピールの強い人より、タチが悪い
早めに牽制しておかなければ…
「ツッキー!試合始まるよ」
後ろから山口に声をかけられて我に返った
「あぁ、うん」
「ねあいしゃーーす」
コートの端に並んで一礼し、コートに入る
1試合目から音駒と…か
黒尾さんがいない音駒はどんなチームになっているのだろうか
MBのポジションには灰羽がいて、馴れ馴れしくツッキーツッキー絡んできてうるさい
驚いたのがリベロの柴山とのコンビ
夜久さんという異次元級のリベロを欠いた音駒だけど、灰羽と柴山のコンビは息があっていて、舐めてかかると危ないと感じた
そうだよね…コイツだって守りの音駒でリベロやってんだから、うまくて当たり前じゃん
日向が放ったバックアタックが灰羽の指先に当たり、ブロックアウトする
「あらあらー、そんなプレイ黒尾さんが見たら、バンザイブロックすんなって怒られるんじゃないの」
そう言って煽ると、灰羽は
「うわでたー!ツッキー性格悪いぞ!!」
と頬を膨らませる
僕と灰羽は言わば同じ師を持つ兄弟弟子みたいなもので、日向とはまた別の意味で負けられないって思う