第13章 新たな風
「今の彼らを見ていると、自分が必死にやったことは間違いなかったんだって嬉しくなります」
「みんな、先生の期待に応えたいって気持ちが力になったと思いますよ」
私がそう言うと先生は優しそうな顔を、更に綻ばせた
「合宿の日程は烏養くんと調整して、また別途プリントで配りますね」
「お願いします」
「そういえば清水さんは自宅が近かったから、夜は泊まらずに帰宅してたけれど、橘さんと谷地さんは遠いですよね?どうしますか?宿泊しますか?」
「そうですね、やっちゃんもいるなら宿泊しようと思います」
そう答えた
GWが終わればいよいよIH予選
合宿では久しぶりに音駒のみんなと会える
音駒も3年生が抜けて新しいチーム編成になったんやろう
リベロの夜久さんは3年生やったから卒業して、多分1年の柴山くんが入って…リエーフ君に犬岡くん、山本さんに福永さん…それに研磨さんって感じかな
楽しみにしながら家に帰ると、従姉妹から連絡が来ていた
何やら画像が貼付されている
「ん?」
開いてみると、外人の男女の画像
ウェットなグレーの髪を後ろに撫で付け、シルバーのスーツに身を包んだ男性の肩に手をかける、同じ髪色の超絶美人
女性はスレンダーなウェディングドレスを身に纏っている
一瞬何の画像か分からず、もう一度ゆっくり見ると…
何やら見覚えのある2人
「え?!これもしかしてリエーフ君とアリサさん?!」
そういえば以前、浅草に行った帰りに従姉妹と会って、モデルにしたいから灰羽姉弟を紹介してくれと言われたことを思い出した
許可を取ってアリサさんの連絡先を教えたのだが、水面下でまさかこんなことになっていたとは…
画像の下には文章があって
歩、本当にありがとうね
リエーフ君とアリサちゃんのおかげで、コンテストでグランプリを獲ることが出来たよ
私の腕、というより2人のポテンシャルが凄すぎた
本当にモデルになればいいのに!
と書いてあった
従姉妹は3月に開催されたヘアメイクのコンテストで、モデルとして灰羽姉弟を使った
テーマはウェディングで男女両方のヘアメイクだったようで、従姉妹はこのコンテストに賭けていると言っていたが、見事そこでグランプリを掴んだのだ