第13章 新たな風
ーそれから数日後の放課後、部活の時間
「あのー部活見学って、させて貰えるんですよね?」
どこからともなく声がして周りを見回すと、数人の男子生徒が体育館の入り口から様子を伺っている
「もしかして…入部希望者?!」
田中さんが言う
「!…わっ、私案内いってきます!」
大事な新入生、新たな烏野高校バレー部を作る仲間
丁重にもてなさなければ…
にしても、1.2.3.4…かなり見学者多いな
見学者だけでゆうに今の部員を超えている
これは期待できそう
「みなさん入部希望者ですか?」
そう言って新入生の所に小走りで駆け寄る
「ちょっと待ってくださいね、縁下さーんっ!アップとかよかったら参加してもらいますか?」
遠くから縁下さんの方に向かって呼びかける
「うん、体操服に着替えて参加できる子はしてもらって。あと経験者と未経験者に分けてもらえる?」
「りょーかいです!」
縁下さんに言われた事を新入生たちに伝える
「私たちもこれから準備するから、体操服とかでもいいんで着替えて参加できる人は良かったらどうぞ。ちなみに経験者はどのくらいいるんかな?」
そう訊ねると、1年生たちはお互い顔を見合わせて、その中から3人程が手を挙げてくれた
あれ…?見学者の人数の割に経験者は少ない
「経験者は君と君と…君だけ?」
「先輩、部活紹介の時未経験者歓迎って言ってたじゃないすか?」
と少しチャラそうな雰囲気の男子が言って、周囲の生徒に同意を求める
「あ、うん。勿論未経験者でも全然ええんやけどな、男バレがある中学の方が珍しいし」
「てか関西弁?先輩、宮城出身じゃないんですか?」
「ああ、去年兵庫から転校してきたから」
「そうなんすか〜、方言萌えですね」
「え、何言うてんの?やめてやめて恥ずいから」
「可愛い〜先輩照れてる〜」
チャラそうな生徒と、その友人と思しき数人に揶揄われる
「とにかくっ、部活体験してみようと思う人は着替えて…
「そんなことより…先輩って、あのキャプテンと付き合ってるんですか?」
「へ?」
あのキャプテンってどのキャプテン?
もしかして縁下さんのこと?