第12章 移ろう季節
ー国見side
ったく…金田一のやつ、不自然だっつーの
ここに来る道中、頼んでもいないのに張り切って
『俺が国見と歩の仲を取り持ってやる!』
って息巻いてたくせに…
しどろもどろで話しかけて逆に怪しいわ
で、肝心の歩はと言うと、俺が今日参加したことを意外そうにしながらも、ちゃっかり俺の好物の塩キャラメルを手作りしてくるという暴挙
なんなの本当
しかもあの日2人で行ったカフェでチャイを一杯奢った時に
「じゃあさ、今度今日買ったスパイスで作ってよ。歩の手作りチャイ」
「分かった、そうとなったらこの店のチャイの味しっかり覚えて帰らんと…」
冗談半分で約束したことを有言実行してきた
勘違いしそうになる
俺のこと誘ってんの?って
歩は他のやつらに囲まれながら、作ってきた塩キャラメルとチャイを手際よく振る舞っている
みんながはけていったのを確認して、彼女に近づくと隣にしゃがみ込んで、どんな顔してるかって覗き込んでやった
…したら、俺と目を合わせないようにしながら
「く、国見ちゃんもどーぞ」
と言って紙コップを渡してくる
「ありがと」
言いながら、なんかイタズラ心?的なものが働いてなのか、単純にどーゆーつもりでこんなことしてんのか知りたかったのか、思わず
「なんなの、俺のこと誘ってんの?」
って口に出してた
「そっ…なっ、ちがっっ!あっつ!」
慌てて動いた歩が、持っていたコップの中身を溢して手にかかった
「なにしてんの、見せて」
そう言いながら歩の手をグイッと引っ張って持っていたタオルで押さえる
「大丈夫、大丈夫なんで!」
って言いながら、相変わらず歩は俺と目を合わせようとしない
「国見ー!何姐さんの手握ってんだー!」
「そーだそーだ!お前また油断も隙もねぇ!」
俺たちのやりとりに気づいたヤツらが、ガヤガヤと囃し立てながら寄ってくる
「大体国見と歩、怪しいんだよな〜!合宿ん時もさ、ほら!歩が国見の耳元で何か内緒話してたじゃん?」
「あったあった!何、もしかして2人付き合ってるとか?!」