第12章 移ろう季節
ー歩side
治も侑も前に進んでる
自分が好きやと感じたこと、やりたいと思ったことに正直であるということは単純に思えるけど実は勇気のいることやって思う
こないだ卒業した3年生たち、それは烏野だけに限らず…みんな、それぞれ進路を選んで自分の未来のために踏み出したってことなんやろう
「みんな凄いなぁ」
翔陽や影山くんがバレー続けるってのは決定事項として…やっちゃんや山口くん、それに蛍は将来のこと何か考えたりするんやろうか
私は料理が好きで、人に食べてもらうことや喜んでもらうことが嬉しいけど、それを仕事にするってゆーのはイマイチ、ピンとこーへん
それは多分、こんな風にバレー部のマネージャーとしてみんなのことをサポートする楽しさを知ってしまったから
この楽しさを知ってしまった私は、誰かの役に立ってる、必要とされてるっていうやりがいみたいなものを感じられる仕事をしたいって、なんか漠然と思ってる気がする
もちろんシェフやパティシエもやりがいのある素晴らしい仕事やと思うけど、どちらかというと自分の中での拘りや、理想を追い求めていく側面も強いと思うし…
難しい…
煮出しているチャイの鍋を見つめながら、自分の将来に漠然とした不安を抱いた