第12章 移ろう季節
金田一は口をあんぐり開けて固まってる
「あああ歩って…あの歩か?橘 歩」
「そう」
金田一をからかうのが面白くて、昨日歩が送ってきた画像をチラッと見せる
「?!?!?!まてまて!!!今の何だよ!もっかい見せろよ!」
「やだね」
俺は携帯をポケットに仕舞って、舌をベーっと出す
「ちょっ!はぁ?!意味がわかんねぇ!何が起きたんだよまじで!ってか久しぶりに見る歩が可愛すぎるのは置いといて、お前アイツにキスしてなかった?!なぁ?!お前そんなことすんの?!そっちが意外だわ!」
路上でプチパニックを起こす金田一を放置してスタスタと先を歩く
「ちょ、コラ!置いてくな!」
「冗談だよ」
振り向いて言う
「は?なにが?!どっからどこまでが」
「確かに昨日一緒にはいたけど、別に付き合ってるわけじゃない
…今は」
「え…待て待て、もう俺の頭がついてかねぇ」
金田一はらっきょヘッドを両手で掻きむしる
本当金田一はイジりがいがある
そーゆーとこは歩に似てるかも
「じゃあさっきの写真は何だよ」
「クラスメイトに告られたのが面倒で、彼女のフリしてもらったんだよ」
「え、あ…そうなのか」
微妙に気まずそうな顔をする金田一
「…なに?」
「いや、お前は本当にそれでいいのか?フリじゃなくてちゃんと伝えれば…」
「歩、今月島と付き合ってんだって」
「え…?!それはまじなのか?本人に聞いて?」
表情をコロコロと変える金田一
「うん、昨日聞いた」
「そっ…か…」
「そんな顔すんなよ」
「大丈夫!大丈夫だ!俺は国見を応援する」
「…お前に応援されても…それに、次いつ会うかも分かんないのに」
「は?会うだろ普通に?」
「え、何言ってんの?どこで」
「お前、LINE見てないの?!」
「なんの?」
「擬似ユース合宿のグループラインだよ!昨日五色から連絡きてたろ!」
ああ、うざいから通知切ってるあれか
それに昨日は歩から送られてきた写真で、それどころじゃなかったし