第12章 移ろう季節
「デートの邪魔して悪ぃな、いやさ〜コイツ今日卒業式終わってから、クラスのみんなで昼飯行こうぜって誘ったんだけど、予定あるって言ってたからさ、まさかこんな可愛い彼女とデートとはな!」
「彼女、他校の生徒だよね?その制服は烏野?」
グループの男の子たちが次々と話しかけてくる
「いや…えっと…」
「困ってんじゃん、歩いいよ答えなくて」
国見ちゃんが言うと
「へぇー歩ちゃんって言うんだ〜って…すげぇ睨まれてる…これ以上絡むと国見に怒られそうだから、俺ら奥の席に行くね!お邪魔しました。じゃあまたね、歩ちゃん」
と最初に声をかけてきた男子生徒が他の子たちを促して去っていった
まだ同じ店内にいるから前のめりになって国見ちゃんに近づき、ヒソヒソと話しかける
「ちょ、待って、今の何どういうこと?!」
「悪いけどちょっと…彼女のフリしてくんない?」
国見ちゃんも私に顔を近づけて、小さな声で答える
「え、なんで?ただのクラスメイトとかちゃうの?」
「そーなんだけど、あの中の女の子の1人に告られててさ…」
「さっき、ひどいって言ってた子?」
「違う、その後ろの子」
「へぇー」
と言いながら、店の奥に進んでいった国見ちゃんのクラスメイト達を見る
さっき話してた子の後ろにいる、ツインテールの女の子
普通に可愛い子やと思った
「全然、気のない相手だから嬉しくも何ともない、面倒なだけ」
「えー、可愛い子やのになぁ」
「俺のタイプじゃない」
「そうなん?じゃあ国見ちゃんはどんな子がタイプなん?」
コソコソと顔を近づけながら話している私に、更に国見ちゃんが近づいて耳元で
「歩」
と言った
?!?!?!?!
私は耳元をバッと押さえて、後ろに飛び退く
国見ちゃんの吐息がかかった耳たぶが、別の生き物みたいに熱い
「ふふ…歩は面白いね」
「ちょ…からかってるやろ」
「歩は言い寄ってくる男を無碍に出来ないだろ」
国見ちゃんはイタズラっ子のように笑う
遊ばれてる…
私が好意を断れへんって分かってて…
やっぱ相談する人間違えたかも!