第12章 移ろう季節
「えーっと…あいらいくばれーぼーるべりーまっち…ばれーぼーるいず すぽーつ ばれーぼーるいず とぅーてぃーんぴーぷる ばとる…」
?
「影山くん…ツッコミどころ満載やけど、とりあえず1個教えてほしい」
「…なんだよ」
「トゥーティーンて何?」
英語でtwoteenと書かれている
twentyのことやろか?と思ったけど、volleyballはtwenty peopleでbattleせーへんしな…
「12だろ」
「12?!」
「なんでだよ、トゥーティーンは12だろうが、サーティーンは13なんだからよ」
なるほど
なるほど?!
「じゃあ…15は?」
「バカにしてんのか?ファイブティーンに決まってるだろ」
…まぁ影山理論は分かったけど、これから一文ずつこの問答が続くのは
そりゃ、やっちゃんもギブやな
隣は隣で
「ばれーぼーる ふぉーえばーらぶ…しかも日向、スペルがふぉえばーになってるし!」
ってやっちゃんが珍しく声を荒げている
「はぁ…」
こんなんで期末テストに間に合うんやろうか
「…ってなわけで、いよいよ留年からの退部が冗談ではなくなってきてるんやけど」
帰りの会が終わり、体育館に向かいながら蛍に、昼間の顛末を話す
「分担制は僕たち一人ひとりの負担がヤバいよね、しかも影山なんて人にモノを教わる態度じゃないから、コッチだって教える気が無くなるし」
「うーん…やっぱ全員でやる?」
「の方がいいかも」
「じゃあ私明日から全員分のお昼作ってくるから、みんなで食べながら期末の日まで昼の勉強会しよっか」
「…そんなの歩が大変じゃん、自分の勉強だってあるのに」
「どうせ自分と家族のは作るんやから一緒やって、そのかわり手の込んだものは作れへんよ?」
「…ほんと?無理しないで」
「大丈夫!それに、なんか楽しくない?ピクニックみたいで!みんなでお昼食べながらワチャワチャ勉強って!」
「歩がそう言うなら…」
「じゃ、決まりな!」
そうして私たちは昼休み、毎日6人で部室に集合して勉強会を行った
「なぁー歩、ちょっと俺の言い分も聞いてくれよ!」
ある日の勉強会、翔陽が唐突に抗議し始める
「なによ?」
「現代文も怪しげな俺たちが、古文なんてどう考えても無理だって分かるだろ?」