第12章 移ろう季節
ー歩side
バレンタインの余韻もそこそこに、いよいよ期末テストムード一色になる
テスト期間中は部活の時間が制限されていることもあり、毎度お馴染みの勉強会もスタートした
今回は蛍が日本史、山口くんが数学、やっちゃんが英語、私が現代文と古文ってゆー役割分担で翔陽と影山くんに勉強を教えることになった
「今日の昼休みは英語やっけ?」
私が訊ねると
「うん、多分谷地さんが部室であの2人を教えてるんじゃないの」
蛍が答える
「って…あれ、やっちゃんちゃう?」
私が中庭の方を指差すと、蛍も目を凝らして
「…そ、うだね、なんかコッチに向かってきてない?」
「たしかに…」
「…ちゃん…歩ちゃーーーーーん!!!」
見たことのない形相のやっちゃんがこっちに向かってくる
「や、やっちゃん!?どうしたん?!凄い形相やけど?!」
「ギブです」
「え?」
「ギブしていいですか?!私1人であの2人は無理!月島くん!歩ちゃんお借りしていい?」
切実な様子のやっちゃんを見て、思わず蛍も
「どうぞ」
と言う
やっちゃんと私は早足で部室に向かう
その途中やっちゃんに
「何があったん?」
と聞いても、見ればわかるとしか教えてもらえなかった
部室に入ると翔陽が
「おぉ、谷地さん!急に飛び出てったから、どうしたかと思ったよ!」
悪びれもなく言う
「まずね、writingからやろうと思って…二学期もあったけどさ、自分の意見を英語の文章で記述する試験あったじゃない?」
「うん」
「その練習をしようと思って、あなたの好きなものは何ですか?それについて英語で記述してくださいって問題を出したの!たった一問だよ?!これしか出してないの!…なのに2人とも何書いてんのか全く解読できなくて…」
「ギブした…と?」
やっちゃんがコクリと頷く
「とりあえず1人で2人は無理だから、歩ちゃんは影山くんの謎解きお願いしゃーす!」
「謎解き?!科目変わっとる!」
そう言いながら影山くんの答案を手に取った