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FLYHIGH(ハイキュー)

第12章 移ろう季節


あのご両親が育てたから、今の歩があるんだろう

また一つ、彼女のことを知った気がした


「ただいま」

玄関に腰を下ろして靴紐を解いていると

「蛍!バレンタインの夜に外食だなんて、誰とだよ!もしかして彼女か?!」

兄が躍り出てきた

「…だったら何?」

デジャヴ

クリスマスの時も確か同じような会話をした気がする


「てか兄ちゃん…クリスマスもバレンタインも家にいるじゃん…いないの?彼女」

「ッ!兄ちゃんだってな、今日会社の後輩に…

「それ義理チョコでしょ?」

「こら蛍!兄ちゃん傷つくぞ!」


兄ちゃんと、いつの間にか自然とこんな会話が出来るようになった

仲がいいのかどうかはよく分からないけど…



「ねぇ」

「ん?」

「…これ、彼女が作ってくれたんだけど…一緒に食べる?」


なんだか照れくさくて、目を合わせずに言った


「蛍…」


兄ちゃんは両手で顔を押さえている


「…え、なに?」


「…いや、嬉しすぎて涙が」


「はぁ」



その後、2人で歩の作ってくれたケーキを食べながら兄ちゃんが

「蛍、お前の彼女って歩ちゃん?」

って訊いてきた

「そうだけど…なんで知ってんの?」

「一緒に試合見てた時に、もう1人のマネージャーの子が教えてくれたんだよ。蛍と歩ちゃんがクラスで夫婦って呼ばれてるって」

「ふーん」

「でもそれだけじゃないぞ、白鳥沢の試合の時お前がウシワカのスパイク、ドシャットしただろ?あん時歩ちゃん泣いてたんだからな」

「え、そうなの?」

「それに蛍がケガした時も、階段転げ落ちそうな勢いで血相変えて走ってったんだから…あぁ、この子蛍のこと好きなんだなって思ったよ」


知らなかった

歩がそんなに前から僕のことを見ていてくれたなんて

兄ちゃん、もっと早く言ってくれれば良かったのに


僕は歩に、僕のことをちゃんと見ててって言ったけど、まだその時はきっと彼女の心の中に僕はいなかった

それでもバレーにハマる瞬間、その時が来たら君に見ててほしいって思ってたから

あの時…僕のことをちゃんと見ててくれたんだと思うと、何だか嬉しい
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