第12章 移ろう季節
蛍は呆れたようにハァと息をひとつ吐くと
「別に大丈夫だけど
…ね、歩?」
と私に向かって言ってくる
めっちゃ意味ありげな顔して…
まるで
だって君は僕のものデショ
って言わんばかりに
途端、昨日の告白を思い出して顔が熱くなる
クラスメイト達は、雰囲気のおかしい私と蛍を交互に見て
「待って待って、2人なにかあった?」
「えー超怪しいんですけど?」
「ついに?!ついに?!」
と囃し立ててくる
視線が一気に私に集まって、耐えきれずに
「お…お付き合いすることになりました」
と言う
「ええええ!!!いつ?!いつから?!」
「おめでとう!やっとだね!」
驚きと祝福の声に包まれながら、横目で蛍を見ると、満足そうにニヤニヤしてる
「おーい、騒がしいぞ!席についてー!」
教室に先生が入ってきた
クラスメイトの1人が
「先生、月島君と歩がついに付き合ったんですよ!これが騒がずにいられますか!」
と言う
それを聞いた先生は
「えー、今まで付き合ってなかったの君たち
月島って案外奥手なんだな」
と真顔で言うもんだから、教室が笑いの渦に巻き込まれて
私たちの交際は即時クラス中に知れ渡ることとなった
一方部活は…というと
3年生が抜けて縁下キャプテン率いる、新生烏野になり、3年生がいなくなった喪失感を感じる間もないほど慌ただしく日々が過ぎてた
私はやっちゃんと2人で潔子さんに教えてもらったマネージャーの仕事を分担しながら、これを2年間1人でやってた潔子さんはほんま凄いなって思った
春高が終わったばっかで実感ないけど、新年度が始まればすぐにIH予選に向けて動き出すことになる
蛍も滝ノ上さんに頼んで焼いてもらった春高の動画を毎晩見ながら色々と考えているようで、2年の先輩たちを交えてブロックのポジション取りや攻撃のフォーメーションなんかをホワイトボードに並べて遅くまで議論したりもした
あっという間に日々が過ぎ去っていって、気付けばカレンダーは2月になっていた