第12章 移ろう季節
ー月島side
慌ただしく日々が過ぎ、気付けば2月…
特段今まで何も思わなかったけど、今年は違う
歩と付き合って初めてのバレンタインがもう目の前に差し迫っている
でも、空気の読めない部員たちに囲まれて、2人で帰る日はあまりなくてバレンタイン当日の約束とかも特段してない
部活終わりにコート内の片付けをしている彼女に近づいて
「ねぇ歩、もうすぐ…
と話しかけると、歩は
「え?!やっぱり思ってた?!てか蛍がそんなに積極的になってくれるとは」
と立ち上がって食い気味にグイグイ来る
「…え…何の話?」
「え?…期末テスト…影山くんと翔陽の勉強見てあげるって話じゃないの?」
はぁぁ…
僕は大きく溜息をつく
ほんとこの子は…鈍感
女の子ってもっとイベント重視するんじゃないの?
2月になってバレンタインより先に期末テストが出てくるって、どんだけ色気ないのさ
「え?!違う?!」
「違うに決まってるデショ、なんで僕があいつらに勉強教えなきゃなんないのさ」
「だってあの2人が留年でもしたら大変やん!」
「いいんじゃないの、後輩になってもらえば」
と、話を聞いていた日向が駆け寄ってきて
「まぁでも留年したら、もう1年インハイも春高も出られるな!」
って笑顔で僕達の話に割って入ってくる
バカの思考回路は謎
「何言うてんの!留年してる分際で悠長にバレーボールやっとるやつなんかおるか!留年したらその時点で退部やろ、どー考えても」
歩が日向にピシャリと言い放つ
「えええ!それは困る!月島ァ、歩、頼んだぞ!」
そう言って日向は練習に戻っていった
「…で、蛍はもうすぐ何って言おうとしてたん?」
「なんでもない」
そう言うと首を傾げる歩を置いて、僕も練習に戻っていった
なんだよ…兵庫にいた時はクリスマスにバレンタインにって
宮侑に何か作ってたんでしょ
ってまぁそんなことダサイから言わないけどさ
それからも歩は部活が終わったらすぐに帰るし、ほとんどゆっくり話す機会がないまま
バレンタイン当日を迎えた