• テキストサイズ

FLYHIGH(ハイキュー)

第11章 終わりと始まり


思わず

「喜んで!」

って言うと

「喜んで!って…居酒屋の注文じゃないんだから」

蛍はクスリと笑う




「これって、今日からお付き合いしてるってことでいいんですかね?」

と訊ねると

「そうなんじゃない、あーあ…ここまで来るの本当長かった」

蛍はそう言いながら私を見下ろす



確かに色々あった

遠回りしたし傷ついたし

蛍のことも傷つけた



「誰かさんは無自覚天然男たらしな上に隙だらけだから、これからは本当気をつけてよ」


「なっ!それを言うならツッキーこそ…

「蛍」

「…けい…こそ」


慣れん


慣れんくて恥ずかしいけど、私が名前で呼ぶと微妙に蛍も照れてるのが可愛い


「じゃあ改めてこれからよろしくお願いします」

「こちらこそ…じゃあ、そろそろ帰ろうか」


当たり前のように私の自転車に跨る蛍

その後ろに跨ってふと思った

出会ったばかりの頃、こうして蛍の後ろに乗せてもらって

あの時どこを掴めばいいか分からなくて、ジャージの裾を掴んでたっけな

それから何度も高校から坂下商店までの道を二人乗りで下った



蛍の胴に腕を回すと、蛍は驚いたように振り返って少し笑った




季節は移り変わる

初めて出会ったのは、ジメジメとした梅雨の季節だった

それから合宿と試合に明け暮れた熱い夏

自分の気持ちに気づいた秋

その距離が近づいた冬



そして…目が眩むような春高が終わり

3年生は引退して、間もなく卒業

時間は止まってくれない

それでも

蛍と一緒ならどんな季節も楽しみで

大人になっていくことも

変わっていくことも

悪くないなって気がした






ー第一部 fin
/ 554ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp