第11章 終わりと始まり
ー歩side
呼び出したはいいけど何て切り出せばいいか迷ってるうちに、自転車置き場に着いてしまった
「ねぇ…なんか言いなよ」
無言の空気に痺れを切らしたツッキーが言う
「いや、なんてゆうか…まずはお疲れ様ってゆうか…疲れてんのに呼び出してごめん」
「全然」
もう言うしかない
「で、話ってゆうのは…前にも言おうとしてたけど、私はやっぱりツッキーが…
「あのさ、まずその呼び方やめてくんない?」
「えっっ…」
その呼び方ってゆーのはツッキーって呼んでることかな…
確かに木兎さんや黒尾さんにもツッキーって呼ぶのやめてくださいって言ってたもんな…
馴れ馴れしかったってことかな
もう私にニックネームで呼ばれることも嫌ってこと
思わず言葉を失っていると
「だって、君もいつかそうなるかもしれないでショ」
ってツッキーが言うけど
「?」
その言葉の意味がわからずフリーズする
「…鈍感」
「ふぇ?」
「だーかーらー…いつか君も月島になったらツッキーじゃん」
呆れたように言うツッキー
「…え、私が月島…に、私が月島に?!」
唐突に意味を理解した
つまり私とツッキーがけけけけけ結婚したら、わわわわ私もツッキーになるからってことで…
よろしいんでしょうか?
あーやばい、顔真っ赤や
「だから名前で呼んで」
「名前って…
け、蛍?」
真っ赤になった顔を見られるのが恥ずかしいから、下を向いたまま目線だけを上げてそう言うと、ツッキーは何故か黙って明後日の方を向く
え、なに?
私なんかおかしかった?
名前ってそういうことじゃなかった?
「なによ!なんかゆってよ!」
突っこもうとして出した手をギュッと掴んで、引き寄せられ…
「わっ」
私はツッ…蛍の胸の辺りにもたれかかるような体勢になる
「僕もこーゆーの慣れてないからさ、1回しか言わないからよく聞いて…僕の気持ちは最初から変わらない、歩のことが好きだよ。ずっと…これからも…
だから僕の彼女になってくれる?」
自分から言おうと思ってたのに蛍から言ってくれた
春高が終わったら僕の方から言うって言ってくれてた通りに
嬉しくて、照れ臭くて、もうこの気持ちをどう表現したらいいか分からない