第11章 終わりと始まり
終わる
私たちの春が…
ワァァァァァァと大歓声に包まれる会場の中で、私たちの春は静かに幕を閉じた
何も言わず、コートを見つめるツッキー
「肩貸そか?大丈夫?」
「…大丈夫、いってくる」
ツッキーは私の肩を掴んで、ゆっくりと立ち上がると整列をするためコートに戻っていった
「「ありがとうございました!!」」
しっかりと前を見据えるみんなは、ここに来る前より一回り大人になった気がする
戦い抜いた…そんな表情に見えた
3年生たちが深々とコートに向かってお辞儀をする後姿に胸が締め付けられる
しばらくして大地さんがみんなを集めて話し始めた
「全国ベスト8、初めての全国で俺たちがここまで来れたのは奇跡的だったかもしれない。でもお前たちは更にもっと上へ行けると確信してる」
お前たち…つまり1.2年生の私たちに向けての言葉
その言葉を聞いた影山くんが珍しく口を開く
「俺は…
このチームでもっと上へ行きたかったです」
!!!
影山くんの口からまさかそんな言葉を聞くことになるとは
全員驚愕する
その言葉を聞いたスガさんが
「ンモォォォ!!」
と影山くんの肩にヘッドバッドを喰らわせると
「試合は勝たなきゃダメだ、勝たなきゃそこで終わるから…
でもお前からそれを聞けただけでここに来た意味がある
誰が何と言おうとある!お前がこのチームをそんな風に思ってくれるなら、きっとこの先もそう思える…ずっと先も」
そう言ってボロボロと涙を流す
その様子に思わず貰い泣きしそうになって、天を仰いだ
スガさんはやっぱり凄い先輩や
同じポジションで、1年生の影山くんにスタメンの座を明け渡すことになっても、少しも腐らず常にチームにとっての最善を考え続けてきた
「すみません、あとひとつ」
大地さんが武田先生の方に向き直る
「やる気があるだけでは来られませんでした、長い練習時間の確保も強豪との練習試合も烏養さんも、先生が居なければ全部なかった
先生が監督であることが、俺たち最大の幸運です」
その言葉を聞いた武田先生も
「僕は、僕はただ君たちを誇りに思います」
と話し始める