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FLYHIGH(ハイキュー)

第11章 終わりと始まり


ー月島side

アイツずっとスイッチが入ったままみたいで、いつガタが来たっておかしくなかった

日向に負けるもんかと思ってたけど、こんな幕引きを望んでいたわけじゃない

武田先生が日向の両腕を掴み、話を続ける

「君の身体はこれから大きくなるでしょう、けれどバレーボールの世界できっと君はこれからもずっと"小さい"
他人よりチャンスが少ないと真に心得なさい、そしてその少ないチャンス、ひとつも取り零すことのないように掴むんです

…君は

君こそはいつも万全でチャンスの最前列にいなさい」


武田先生の言葉は日向だけでなく、僕ら全員の心に深く刻まれた

多分僕との交代に備えてアップしていた成田さんが、期せずして日向と交代することとなった


「ごめんなさい…ごめんなさい…」

と、泣きながら謝る日向の気持ちが痛いくらいに伝わって、神妙になる空気を和ませるように田中さんが明るく

「はしゃぎすぎて発熱て!!幼児か!!!」

と笑い飛ばす

「コイツはずっと幼児ですよ田中さん、てか一晩寝れば治るんデショ、この体力オバケ」

僕も努めて明るく言った



「日向翔陽!俺は!お前を待っている!」

小さな巨人さんにそう言われた日向は、コートに一礼をしてアリーナを後にする


と、歩が日向の荷物を慌ててまとめてるのが視界に入った


僕は思わず歩の腕を掴んで


「いかないで」


気づいたらそう言っていた


この試合の行く末を歩に最後まで見守ってほしい


僕のことを見ていてほしい



歩は驚いた表情で僕を見る


そうだよね、いかないでなんて…


ダサすぎ


自分でも疲れてわけわかんなくなってる


「…ごめん、なんでも…


「やっちゃん!!!」


歩が大声で谷地さんを呼ぶ


「翔陽のこと頼んだで!これ荷物お願い!」


谷地さんに日向の荷物を渡すと、歩は僕の方に向き直り


「どこにも行かへん、ずっと見てる」


そう言って僕の両手をギュッと握った




頭クタクタ、脚は鉛のよう

それでも握られた掌から力が漲ってくる



僕はコートに戻り、円陣を組む

「経験不足、準備不足ぜんぶひっくるめて俺たちの全力!烏野ファイ」

「ォオァーーイ!」

キャプテンに続いて全員で叫んだ
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