第11章 終わりと始まり
ー歩side
試合の流れが速くなったように錯覚するほど、両チームが加速していく
ツッキー、もう脚とっくに限界やろうにいつもより多く、高く、速く跳んでる
まるで日向に負けてたまるかって火花を散らすように…
翔陽も絶好調でレシーブもキレキレやし、マイナステンポのバックアタックもドンピシャで鴎台コートに突き刺さる
これはもしかすると…もしかするんじゃ?
『ーー烏野ブレーーイク!!はやいはやいバックアタック!自分であげたボールを自ら決めていった日向翔陽ーーー!』
コート内では、田中さんが翔陽を立ち上がらせようとして手を差し出した
そして翔陽はその手を掴もうと手を伸ばし
…でも、そのままコートに倒れ込んだ
「…なんかおかしくない?」
「うん…日向どうしたんだろう?」
やっちゃんと2人でベンチに向かう
コート内で立ち上がることができない翔陽に気づいた会場がざわつき始める
『怪我…ではなさそうですが、烏野ここでタイムアウトをとります』
ベンチに戻ってきた翔陽を座らせ、潔子さんが体温計を取り出す
「すげぇ運動量だしって思ってあんま気にしてなかったけど、さっき手が異常に熱かった」
影山くんが言う
「やっぱり?気のせいじゃなかった…私もさっきドリンク渡した時、翔陽手めっちゃ熱いって思った」
「何言ってんだよ普通だよ!」
言い返す翔陽の額に武田先生が手を当てる
ピピピッと体温計が鳴って、取り出された画面を見て驚く
「39.1℃…」
「でもどこか痛いわけじゃないし動けるし、おれはとべます!
怪我じゃないです!怪我じゃないです!」
コーチの腕を掴んで懇願する翔陽を見ていられない
その翔陽を武田先生が掴んで座らせる
「ー君が聞きたくないことを承知で君に話します
今これ以上君を試合に出すことは出来ません
君は中学で試合ができなかった分「試合ができる」と言う喜びを人一倍持っている 悔しさは一入でしょう…だから
いいですか日向くん
この先絶対こんな気持ちになるものかと胸に刻みなさい、どうしようもないことは起こるでしょう、その度に注意深く刻みなさい」