第11章 終わりと始まり
不動さんの2本目のサーブも東峰さんを狙ってくる
けどこれはラインを割ってアウト
「ナイスジャッジー!!」
3日連続大声を出し続けているからか、私の声も掠れてきてる
「それにしてもさぁ…影山ジャパン益々やばない?」
「影山ジャパンて!ジョン万次郎みたいな!」
「それやったらジャパン飛雄やろ、ってそれは置いといて…なんか強いチーム、強い選手と当たる度に磨かれて鋭くなってってる感じせーへん?」
「確かに…一段と余裕あるように見えるかも」
さっきから鴎台のビッグサーバーが打ってくるサーブはどれも強烈で、影山くんの元に集まるのは決して良いレシーブばっかではないのに、それでも影山くんは惚れ惚れするほど緻密なトスワークを展開してる
あまりに飄々とやりすぎて、簡単そうに見えるけど、あんな芸当そうそう出来るもんじゃない
そんで今また、影山くんのサーブのターン
影山くんがボールを投げて、サーブの助走に入る
トンッ
?!
ジャンプサーブじゃない…なんで?
『影山ここまでとはうって変わって入れていくサーブ』
ボールの行方を見守ってると、その先には…2m
多分鴎台の2mは百沢くんと同じで、バレー経験が浅くてサーブレシーブに参加せんように下がってる
そこを…狙ったってゆうの?
ゾワっと鳥肌が立つ
2mは取ろうと思えば取れるボールが来たことにより、サーブレシーブに参加するべきか逡巡する
そして一瞬の迷いの間に影山くんの放ったボールは鴎台のエンドラインギリギリに落ちた
『なんっっと見合ってしまった鴎台ッ
烏野逆転〜ッ!!』
鴎台14:15烏野
『今お見合いを誘いましたね〜影山くん。白馬くんは完全に攻撃に意識が向いている状態だったでしょうからね
でも取れる球がきて迷いが出ちゃいましたね〜!いや〜エンドラインぎりぎりいっぱい、見事に白馬くんをレシーブに引っ張り出すいいサーブでした…
末恐ろしい1年生、影山飛雄…!』
実況も興奮気味になる
どんなに劣勢でも攻めづらい相手でも、この人がいれば大丈夫って思わせてくれる
「いけっ!」
「いけっ!!」
やっちゃんと私の応援も前のめりになる
影山くんの2度目のサーブ
今度は強打
ほんま凄すぎて笑えてくる