第11章 終わりと始まり
取りつ取られつ何とか食らいついていく
点差の開きはないけど、1セット目を落としているのもあって少しのミスが命取りになりそうな、ひりついたゲーム展開になってる
で、星海選手はかなり見えてる
ドンピシャのタイミングでツッキーがブロックに跳んでも、その指先を狙ってブロックアウトを取ってくる
更にチームとしてはデディケートシフトからリリースのポジションにかえてきてる
「相手のブロック、デディケートシフトじゃなくなったね?」
やっちゃんも気づいてそう言う
「1枚、東峰さんの前にマークするようにしてるな」
どれだけ翔陽がコート内をかき乱し、走り回ったとしてもあくまでエースをマークするってゆー鴎台の圧
「東峰さんって…見た目すっごい怖いけど、内心すごい優しいしデリケートだから心配…ってゆーか私も吐きそう」
多分東峰さんと同じようにプレッシャーを感じやすいやっちゃんは、完全に東峰さんの状況に感情移入しすぎて、青ざめてる
「東峰さんも、よそのチームのスパイカーに感情移入しすぎてよく吐きそうになってるもんな」
そして今東峰さんには厳しい展開
執拗にマークされ、ブロックに捕まってドシャットされて
それでも自分にトスが上がる限り打たなければならない
それがエースである重圧…
『ーああっとしかしシャットアウトー
強力なサーブで乱し、高い壁で仕留める
鴎台のサーブアンドブロック!!!』
サーブアンドブロック
サービスエースの次に理想的な攻撃の形
そして鴎台のそれは訓練され、洗練されている
東峰さんのサーブ
この場面で入れるだけじゃなくて攻めてジャンプサーブを打つ姿は本当にかっこいい
でもネットにかかってしまって得点にはならなかった
そしてそこに追い打ちをかけるように
不動の昼神さんが東峰さんを狙ってサーブを放つ
そのサーブは…
東峰さんの腕を掠めてコート外に落ちた
「ああ…」
隣からやっちゃんの呻き声が聞こえる