第11章 終わりと始まり
烏野のブロックはまだ跳ばない
「せぇーーーのっ」
ツッキーがたっぷり溜めながら言って、ブロック3枚で飛び上がる
対空時間が長いスパイカーを相手にする時、同時に跳べば先に落ちるのはブロックの方やってことをツッキーはよく分かってる
いつも翔陽を見てるから…
スパイカーの最高打点にブロック完成のタイミングを持っていくって、言葉では簡単に言うけどあの早いラリーの中で、冷静に考えられるのはほんまに凄い
ダァン
壁に阻まれた星海さんのボールは鴎台コートに落ちる
『こちらも負けじとブロックポイントー!』
でもさすが準々決勝まで来るチーム
そしてそのチームのエース
同じようには何度も行かない
次は同じようにタイミングを計ったけど、指先を狙われてブロックアウトを取られてしまった
星海選手
トスワークも完璧
サーブも強烈
翔陽の上位互換選手…
彼は小柄のわりに、ではなく単純にトップクラスの選手なんや
なんやろう、この…
及川さんや、ウシワカさん、侑みたいなサーブから超人って感じの絶望はないのに
なんか攻めるきっかけが掴めへんこの感じ
「なんかさっきからブロック片方に寄ってるよね?」
やっちゃんが言う
「デディケートシフトやな…たまーに対戦相手でも見る」
「音駒も練習試合の時、やってたよね」
「うん、今で言ったら東峰さんや田中さんにプレッシャーかけるためにあえて、固めてるって感じよな」
「でもそれだとセンター、今で言うと月島くんのとこがブロック手薄になるよね?」
私もそう思う
そして今目の前で実際影山くんは、センターにいるツッキーにトスを上げた
でも壁はきっちり2枚、いや3枚ついてくる
ツッキーのスパイクは完全に読まれていてどシャットされた
サイドにプレッシャーをかけられると、センターを使いたくなる
そこまで見越してのデディケートシフト…
どこまで隙がないの…鴎台