第11章 終わりと始まり
ピーッ
試合開始の笛が吹かれる
『破竹の勢いで勝ち進む烏野 じわじわとその頭角を現してきた鴎台、この一戦どんな結末が待っているのでしょうか!
さぁ春の高校バレー全国大会 男子準々決勝
鴎台キャプテン諏訪のサーブで試合開始です!』
実況の声がするけれど頭に入ってこーへん
さっきのツッキー
絶対怒ってた、私のこと嫌になった、軽蔑した
もしかしたら春高初日のバスの中からの態度…
あれも私がどっかで何かをやらかしてた可能性がある
理由もなくツッキーは私を避けたりせーへんし…
そういえば昨日、影山くんに誤解されたら困る的なことを言ってた気がする
やとしたら、私が影山くんと2人でいるのをツッキーが見て誤解したんかもしれん
誤解されるようなこと全くしてないかって言われると自信がない
影山くんに好きやって言われたし、私も好きやったって言うた
それを聞かれてたとしたら…
「あー、結局私が全部悪い」
髪の毛をグシャグシャと掻きむしると、隣にいたやっちゃんがギョっとする
早くもコートの中では火花が散っていて、翔陽が速攻を決めれば鴎台の小さな巨人、星海さんもやり返す
ブロックシステムが洗練されている鴎台が序盤からブロックポイントを掻っ攫う
「さっきコーチも言ってたけど、向こうのブロック怖いね」
「…うん、全員伊達工の青根さんって感じやな」
「…例えが怖すぎるんですけど」
「全員青根さん+ユース」
「やめてー!」
やっちゃんが耳を押さえる
「いやでも実際、冗談抜きでそうよ。鴎台は伊達工と同じバンチシフトリードブロックやし」
「束で壁でグワーのやつね!」
「そうそう、だから圧が凄いよな…それにリードブロックやから、サイドのスパイカーが打ってきても絶対2枚はついてくるし…」
ローテが回って星海さんとツッキーがネット際でマッチアップする
東峰さんのサーブ
スパイクサーブという名が相応しい強打
しかし上げられている
と、星海さんが助走に入り、ドンっと床を蹴る大きな音がした