第3章 春高予選
ー月島side
昨日も部活終わってから兄ちゃんのチームと練習
ほんと連日疲れる
指痛いし…
体育館に行くと視界に歩が入る
?!
いつもロングヘアを束ねていた彼女がショートカットになっている
元々小顔で美形だからショートが似合いすぎてる
本当モデルみたい…
話さなければだけど…
「やべー、橘イメチェンして可愛いすぎじゃね?」
「ショートが似合うのは美人の特権だよな」
みんな色めきだってる
なんかイライラする
練習を切り上げる
「ツッキー!もうお兄ちゃんとこいくの?」
帰ろうとした僕を歩が追いかけてくる
「あ、うん。歩は?」
「タオル洗濯しようと思って」
「そ、あのさ」
「なに?」
「その髪…どうしたの?」
「え、変?」
「いや…むしろいいんじゃない」
「良かった」
「なんかあった?」
「…」
歩が足を止める
「歩?」
「前にさ…ツッキー私に言ったやん…影山くんのこと好きなのって…あれ、合ってたわ」
悲しそうに笑いながら彼女はそう言った
「でも…色々誤解されてるし、バレーしてる影山くんに私は邪魔やし、言うつもりはない。だから吹っ切るために髪も…
気づいたら抱きしめてた
「ちょ、ツッキー?!」
「僕にしなよ…僕なら…
そんな顔させない」
「…ありがとう、でも…
「まだ返事は聞かない」
そう言って僕は、学校を後にした
ー8月末東京合宿
「ねぇ、ちょっと」
最後にバスから降りた僕は影山を呼び止める
「あ?」
「歩のことだけど」
「なんだよ」
「あの時僕は影山がいるの分かってて聞こえるように言った。歩とキスしたって。それは事実だけど、僕が一方的にしただけ」
影山は僕を睨みつける
「あと、黒尾さんに連絡先聞いたのも、うちのチームのため」
「何が言いてぇ」
「歩は中途半端な気持ちでマネージャーやってるわけじゃない。誰よりもチームのこと考えてる。そんなこともわかんないの?」
影山が舌打ちをする
影山の横を通り過ぎ、体育館に入ると木兎さんに声をかけられる
「ヘイヘイツッキー!ブロック飛んでくれ!」
「よろしくお願いします」