第10章 ゴミ捨て場の決戦!
そう声をかけると、谷地さんが不安そうに口を開く
「…よく考えたら3セットマッチで1セット目を落とすのを見るのは私は初めてだなって
烏野は春高予選が始まってから昨日まで、白鳥沢との5セットマッチの時以外、1セット目ってずっと先取してきたので」
「確かに烏野は相手が慣れるまでにガーッて獲ってくタイプだもんね…それに3セットマッチの1セット目は重いしね」
「音駒相手っつーのがまたヤバいよね!ヤツラ守備力あげてくるからね!」
俺に食い気味に木兎さんが谷地さんにかますから、彼女はもはや硬直している
「木兎さんっ」
小声で牽制するけど木兎さんは
「何だよお前も"重い"とか言ってんじゃん!」
と反論してくる
なおも険しい表情の谷地さんに
「負けたら…
そんなこと考えて水差しちゃダメだよ
後のことじゃなく今見て
俺たちがどのくらい強くなったか見て」
木兎さんがいつになく真面目に言う
「…木兎さんちょっと圧が強いです、ごめんね」
「いえっ 今までの自分になかった思考を思い知るのは痛気持ちいいです」
谷地さんは真っ直ぐコートを見つめてそう答えた
「大体谷地さんは、歩ちゃんと毎日一緒にいるだけでも相当な圧だろうに…」
俺がそう言うと
「え?!どーゆー意味ですか?!私、やっちゃんに圧とかかけてないし!な、やっちゃん!」
急に飛び火した歩ちゃんが慌てて反論する
「…その言い方が圧!」
「えー!ひどい!」
そう言って彼女は腰に両手を当てて膨れる
「てかいいよなアイツらー!俺混ざっていいかな?!」
ウズウズしながらコートを見る木兎さんが言った
「えー!どっちのチームで出るつもりなんですか?」
歩ちゃんは首を傾げながら言う
論点そこなの?!まず出られないと思うんだけど
「うわ、そこ考えてなかった!どうすっかなー」
木兎さんは真剣に悩み出す
だからまず出られないと…
「赤葦さんは?」
「え?」
「赤葦さんならどっちのチームに入りますか?」
何故か不毛な議論が飛び火してきた
「俺は…音駒かな?」
「…?」
即答した俺を不思議そうに彼女が首を傾げて覗き込む