第10章 ゴミ捨て場の決戦!
依然烏野セットポイントの場面
影山くんファーストタッチのボールをノヤさんが上げる
それに合わせて東峰さんが強打を繰り出す
けどそれすらもブロックにコースを絞られ、夜久さんの方向に打たされた
ドゴォッとすごい音がしながら夜久さんがなんとかレシーブする
「ヒィィ!もげるっ!」
やっちゃんが青い顔をしながら言う
ネットを越えそうになるボール
ブロックはツッキーと東峰さん、烏野きっての高身長ローテ
対する音駒のネット際には私とそう身長の変わらない研磨さん
競り勝ったツッキーがボールを音駒コートに叩き落とす
が、ピーッと笛が吹かれる
「オーバーネットか…」
「オーバーネット!音駒のセッターがトス上げようとしてるボールに、月島くんが手を出しちゃったってこと?」
手元のバインダーにペンを走らせながらやっちゃんが言う
「そやな、でも今のはただのオーバーネットやない」
「…どういうこと?」
「誘われたんよ、研磨さんに」
「オーバーネットを?」
私はコクリと頷く
「今のは昨日の侑と同じ、ツー打つと見せかけてツッキーのオーバーネットを誘ったんやと思う」
「…瞬時にそれを?…この第1セット終盤で?」
私は頷くと、スコアボードを見上げた
いつの間にやらスコアがひっくり返り音駒のセットポイント
研磨さんに徐々に羽を捥がれていってるような感覚がして、背中に冷たいものが流れる
「この終盤で…そうやな、普通ならそう思うよな。でも多分研磨さんは今やからやったんやと思う。烏野が勢いに乗って勝ちを掴みかけた今にあえて…」
「…こわ」
「私もそう思う」
烏野サイドに焦りの色が見られる
全員で何度も何度も攻撃に入る
それを音駒が必死に繋ぐ
繋ぐ…繋ぐ…
普通のチーム相手ならここで2.3点獲れそうなプレーも音駒には拾われる
そしてラスト、必死で研磨さんが返球したボールは
何故か烏野コートに静かに転がっていた
『ーなんっ
という事か!烏野ここでまさかのお見合いー!』
音駒27:25烏野
1セット目を落とす波乱の展開で、ゴミ捨て場の決戦は幕を開けた