第10章 ゴミ捨て場の決戦!
第1セット終盤
黒尾さんの強烈なサーブを大地さんがキレイに上げた
そして全員で助走に入る
シンクロ攻撃
ここで影山くんは誰を使う
ふいにライトにトスが上がり、大地さんがバックアタックで点をもぎ取る
『バックライトから澤村ー!文字通りどこからでも繰り出される烏野の攻撃、音駒対応しきれずー!』
今レシーブしたとこの大地さんに上げるあたり、影山くんはマジで容赦ない
音駒はサーブで翔陽を狙うが、春高に来てからレシーブの精度が上がってきてる翔陽はソツなくレシーブをする
レシーブが綺麗に上がる度に何か言って欲しそうに影山くんを見る翔陽は、さながら親に褒めてもらいたい子供のようで微笑ましい
「日向はもう、レシーブの穴じゃないね!」
興奮気味にやっちゃんが言う
続いてリエーフ君のサーブ、これもうまく翔陽を狙ってくる
ていうかリエーフ君狙ったとこにサーブ打てるようになってるのが地味に驚き
多分翔陽に負けたくなくて、向こうも必死なんやろな
「オーライッッ!」
コートから声がして、翔陽が高くレシーブをあげる
「ナイスレシーブ!!」
やっちゃんと声を合わせて叫ぶ
でも…翔陽をファーストタッチで封じられた烏野は、攻撃パターンを絞られブロックに捕まる
そうそう…これが音駒
オセロの盤が変わっていくようにじわじわと追い詰められ、気がついた時にはコート内が音駒色に染まっている
紛れもなく研磨さんの指揮によるものだと肌で感じる
音駒は序盤、相手の出方を伺って段々追い詰めていく…
だから一セット目落とすのは何としても避けたい
東峰さんがブロックアウトを狙った渾身の一打
ブロックに当たって吹っ飛んだボールを、山本さんが拾ってる
これは…
たった一回しか見てないのに、瞬時にブロックアウトを警戒して守備を下げたってこと?!
対応力やばすぎるやろ
そこから長い長いラリーが続く
三打目でようやく、烏野に点が入りセットポイントになる
でも…烏野は毎度毎度全員で攻撃に入るから、一点もぎ取るだけでこの労力は…
と心配しながらコートに目をやると、みんな良い顔をしてる
そっか…苦しいけどしんどいけど
自分たちの限界を超えてくる好敵手と戦える喜びをみんな感じてるのかもしれない