第10章 ゴミ捨て場の決戦!
「でもやっぱ音駒は、今までなら決まってた攻撃もめっちゃ拾われるな」
「そうだね、しかも一度目は決まっても音駒には二度同じ技は通用しないって感じ」
コートを見ながら2人でスコアをつける
『それにしても両校非常にリラックスした状態に見えますね』
『そうですねぇ、しっかり力を発揮できていますね』
『何か…ここではなくホームのような場所で試合をしているような雰囲気さえあります』
『両校、初全国のメンバーばかりのはずですが、すごい度胸ですよね』
聞こえてくる実況に、やっちゃんと顔を見合わせて笑う
実況は両校の因縁なんて知らない
ずっとずっと前、猫又監督と烏養元監督の時代からの因縁
夏の間何度も何度も何度も練習試合したあの体育館
私たちが、選手たちがこの日をどんなに待ち望んでいたか…
3年生たちにとっては公式戦で対戦するのはこれが最初で最後
今までの全てを出し切るという強い決意が見られる
両校熱いプレーが続く中、フッと研磨さんを見ると…
ゾクリとするほど無表情で
得体の知れない恐怖を感じた
影山くんとリエーフくんがネット際で押し合いになる
高さではリエーフくんが有利でも、技術が違う
なんせうちの影山くんはジャパンやからな…
思った通り影山くんがリエーフ君の手に引っかけるように相手コートにボールを落とす
しかし落ちる寸前で山本さんが拾って…
「あ、研磨さんが動く…」
研磨さんが素早くボール下に入り、オーバーハンドでリエーフ君にトスをあげる
リエーフ君の高い打点から繰り出されるスパイクは烏野コートに突き刺さった
「あの打点は…高かったね」
やっちゃんが呟く
「うん…リエーフ君も凄かったけど、研磨さんもあんな風にボール下に素早く入ってオーバーで上げるとか、あんま見たことない」
「確かに会場が若干ざわついてたもんね」
そりゃそうよな
夏合宿の時から烏野は進化してる
音駒も同じなわけないもんな…